第5話 お金、お金、お金ェ‼︎!

 ノクスを助けてから半年後、僕は五歳の誕生日を迎えた

ノクスはあの怪我の後から何もなく、着々と僕の頼んだことをして貰っている


 ん?結局彼(ノクスは男だった)に何をお願いしたんだ、って?


 では教えてしんぜよう。僕がノクスに頼んだことは––––––––
















 ––––––––お金集めだ









 







 えー何々?『やっている事しょぼ』。『コソ泥じゃん』。『おい犯罪者』。『金返せ』?

 君たちの言っていることは正しい

 まぁでも?考えてみてよ。

 僕は今、とってもか弱い五歳児だよ?料理しようともこの体にはあらゆる調理器具は大きすぎるし、重すぎる。しかも体力がない

 冒険者も同じだ。こんな体で王都でハードワークをしろと?無茶だろ?死ぬよ?


 後、ノクスのご飯代を彼自身で稼いで貰わないと、もし親の金で彼のご飯をバレた時があったら……

 うぅ、寒気がするぜ


 まぁそんな訳で彼にはどんどん小銭を拾って貰っている訳だ。


 …………それにカラスだったら誰からお金盗んでも分からないし、足も付かない鳥だけに

完全犯罪さまさまだよグヘヘ


 バサッバサッ


 「あ、お帰り〜」

 そんな言いどうでもいいこと(?)を考えていた時、見廻りを終えたノクスが戻って来た

 「オ金?ヲ拾ッテ来タ」とそのくちばしには鈍い銅の光沢があった

 (ひょ〜、お金、お金、お金ェ!)

 「うん、いつもありがとう」

 

 今思っていることを表情に一切出さずに爽やかな笑顔で受け取るエドガー《主人公》

その笑顔は間違いなく詐欺師のような笑顔だった


 「そうだ!このお金で何か美味しい物でも買おうよ!」

 「美味シイモノ…食イタイ」

 「決まりね!じゃぁ行こう!ノクスは僕のぴったり真上をついて来て」

 「分カッタ」


 







 







 それから十数分後、僕らは美味しそうなパンをを買い人気が無いベンチで半分こして食べていた


 「美味シイ、美味シイ」

 「それは、良かった」

 

 傍目にパンにがっつくノクスを見つつ、僕はこれからのことを考えていた


 (これから色々なことをするためにもっとお金を貯めなければいけない。学園にはいけないから独学で文字や文法、地理、歴史を学ばなければいけないし、図書館は高い閲覧料は必要だ。さらに冒険者に必要な防具、ポーション代を考えるとかなりの額になってしまう……。一応武器の調達は何とかなるかもしれないけど、前世の知識で何かを作ろうと思っても成長のことを考えると時間的にも足りないしなー。しょうがない、ノクスにもう一つお願いを聞いてもらって––––)

 

 「こんにちは坊ちゃん」

 「うわ!!!」


 (え、誰この人?ちっとも気配がしなかったんだけど?!)


 外見は至って普通の初老の男性が僕の隣に座っており、彼の膝には犬が心地良さそうに体を預けていた


「何かぼーっと考えていたようだから大丈夫かと思ってつい声をかけてしまった。ごめんね」

 「いえ、そんな。ありがとうございます。大事なことを考えていたものでつい…」


 周りを見渡してノクスを探す。よかった、近くにはいる


 「よかった、ところでさっきのカラスとは友達かい?やけに親しかったね」


 ?!


 「えっと、何をおっしゃって––––」

 「ああ、ごめん。いきなり言われたら驚いちゃうよね」


 そう言った男は僕に茶色の瞳に黒の丸が三つ混じった眼を向けた


 「君も持っているよね。良ければ詳しく教えてくれないかな?」

 

 そう言い男は優しく言った

 

 

 

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