灯台下暗し
河内志生
第1話
鳥の囀りが聞こえる朝。
【母】夕良。ねえ夕良ってば遅刻するわよ。
【夕良】わかってるってば!そんなん言われなくてもわかってるよ!
そう。私は絶賛反抗期だ。母一人で育ててくれた私がこんな姿になってほんとごめんなさい。
私はお父さんを見たことがない。お母さんは私を産んですぐにお父さんと離婚した。今まで仕事や家事が忙しい中女手ひとつ育ててくれているのだ。
私は嘉神夕良。(かがみゆら)この春から高校1年生だ。この時期に反抗期ってどうなんだろうか。
3月。ダンボールを新居に運び終えた。
【夕良】はぁーやっと終わったよ
私は高校生になったら一人暮らしを始める。
なぜって?生まれてからずっと住んでいた町を離れて行きたい高校に進学するためなの。
【母】じゃあ帰るね。寂しくなるね...。毎日夕良の姿を見ていたのに明日からは見れなくなるなんてね...。いつでも帰っておいで。
【夕良】わかったよ!わかったからもう!
こんな時にまで反抗するとか終わってるよね。
【夕良】良しこれからは海が見えるいいお家に住める!やった!
一人暮らしとは思えないほどの景色が広がるこの家。海辺のアパートを借りたのだ。
高校も教室から海が見える高校で、もう通うのがワクワクで待ちきれない!
4月。一人暮らしと高校生活をスタートした私は友達もでき、すっかり華のJKライフを送っていた。
とある日のホームルーム。先生がいつもとは違う雰囲気で教室に入ってきた。
【先生】みんな。今日からこのクラスに転校生がくるぞ。暖かく向かい入れてやってくれ。
ガラガラガラ...
【夕良】(!?な、なんだこのイケメンは!)
私はまともな恋愛をしたことが無い。なんなら彼氏さえ出来たことも無い。
だがしかし!この教室に入っていて数秒でビビッとくるお顔!お話が違うではないか!!
【先生】じゃあ早速自己紹介お願いね。
【??】はじめまして...隣町から来ました、大沢龍斗です。よろしくお願いします。自分は昔から...
【夕良】(かかか、かわいいだと!!)
私は喋った瞬間から恋に落ちた。もうその後の話は入ってこない。なんとクールな見た目とは180度違うまさかのかわいいキャラだったのだ。私はかわいい男の子が好きなのだとようやく理解した。
しかも隣の席が空いているだと!?こんな恋愛ドラマみたいな展開あるのか!
【先生】じゃああの席に座ってね。
【夕良】うわぁこんな神展開あるんだ。
本当に隣の席に来た。これは恋の予感!
続
灯台下暗し 河内志生 @kawashii
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