第140話 システム
リーシャちゃんは元々修道院に所属しており、一応教会関係者だった。今は脱退しているから本格的な関わりはないけど、一応それなりに知り合いはいる感じ。
今日は新国家について、教会所領の整理を行う。全没収は流石に反発が起きるので、区画整理ついでに少し削減する予定。具体的には教会所領の土地に鉄道を通す。
なんというか、王都まで結構一直線上に教会所領が点在していたからな。当然畑が多いのだけど、教会勢力の良い所は集団農場が成功してしまっている点だ。例え一部の土地が使えなくなっても、すぐに別の土地を開墾するぐらいには柔軟な組織でもある。
「……最終的には微減ですし、教会側が納得するか分かりませんよ?」
「畑の位置は纏まっていた方が教会側も管理しやすいでしょ。
何でこんなにまばらにあるんだ教会所領」
土地の入れ替えについて、伝えに行く役割はリーシャちゃんに任せる。……まあこちらの戦力がおかしいことぐらいは把握してそうだからある程度は上手く行くかな。
なおこれで教会側がぶち切れてもリーシャちゃんを害することが出来ないぐらいにはリーシャちゃん自身強くなっている。まあ護衛に朱雀のシュカも付けるし、万が一は起きないだろうけど。
「……内政するのは構わないのじゃが、ダンジョン内で自堕落な生活を送るのも1週間で飽きた奴が数年、数十年規模で待てるとは思わないのじゃが」
「いやそこは完成しないと仕掛けることすら出来ないし。
ところでゼーン神とアーク神って同一人物で良いんだよね?」
「人物ではないのじゃが。あと、あくまでも経典を書いた人が同一人物である可能性がある、という段階なのじゃ。
……アーク教の経典とゼーン教の経典は、同一存在が書いたと思われる文章的特徴があるのじゃ」
「……そのまとめを作ってくれたのすんげえ助かる。
というかこんな些細なことで同一人物が書いてるってバレるんだなあ。自分も何か書く時は気を付けようか」
アーク教の経典はこの前に怪我人から買い取り、ゼーン教の経典自体はリーシャちゃんの屋敷に元からあったので、これで完全な比較が出来るようになったわけだけどどうやら同一人物が書いているようで文章に一致箇所が見られた。
書いてあることは結構真逆ではあるんだけどな。明らかに性善説と性悪説を元に出来ているけど、特定の語句が完全に一致してるのはもう狙ってるだろ。原文が異世界語だから日本語に訳すと変だけど例え話に「妙に幼さが残るハゲ女」が両方に出て来たり、「ステータスの解説が一致」していたり。
……ステータスがある世界は、妙にシステマティックでもある。異世界側はこれ、ダンジョンが出来る前からステータスが当たり前にある世界なんだけどそもそもその前提が現実性のないおかしな話ではある。
そんな世界に神様が居たとして、ゼーン教の経典では神に祈ることで神の力は増し、その結果神からの恩恵も増えるという記述があるので地球と繋げたのは信者獲得が目的なんじゃないかな。この異世界側と地球側、人口比なんて1:100ぐらいの差がある。たぶん異世界側、7か国で合計1億人も超えてない。
……そして例のリセットは信者が0%の時に起動する、と考えている。過去のリセットの状況を最後の勇者に聞いた限り、異世界側は相当荒廃してそうだったし下手すりゃダンジョンマスター同士の戦いに巻き込まれて全滅している。信者が0人になっていた可能性はそれなりにあるし、自分が時間を撒き戻したタイミングは確実に0%だった。
となると、自分が時間を飛ばしている間に起動しなかったのは謎だけど分母が0だと誰も時間を撒き戻せないからシステム的にはエラーが出る仕様なんじゃないかという予想。まあ神様も信者0は困るだろうからその時のために強制的な時間の巻き戻し策を用意しておいたのかな。
ただこれだけだと、根拠として弱いとも思う。……こんな状況を創り出す存在だ。絶対愉快犯というか、人間の感性とかけ離れていても驚きはしないし、ギミックに時間の巻き戻しなんてたいそれた事を組み込んでいる以上、敵対したとして自分が無事なイメージも湧かない。
……そういえば、最後の勇者が去り際に「前の貴方は、周回が起き続けているこの世界自体を嫌っていた」と言っていたな。前の自分も周回が起き続けていたことは把握していたということだし、もしかしたら今までに何周起きているのかを把握できる手段があるのかもしれない。
「イツキさん!教会側が所領の交換に応じました!
鉄道の建設にも人手を貸してくれるそうです!」
「ええ……何であの組織、宗教勢力なのにそんなに聞き分けが良いの。
過去の地球側の為政者達がどんだけ宗教勢力に苦労したと思ってるんだ」
まあまずは異世界側を発展させよう。無理にでも生活水準は上げるつもりだから、反発も少なくなる……と良いなあ。
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