第94話 マスコミ
リーシャちゃんを始めとした、今後パイロープの街の統治に関わるであろう人達に地球のマスコミという人種についての説明を開始する。いきなり『取材で来る日本人は取り押さえろ』と言っても、理由が分からないと横暴的な手段は手伝ってくれないからな。
ちなみに講師役はゆかり。学者肌のイケメンに寄せつつある上、既にコホウダケとネズミの実験のせいで知名度と説得力があるから講師役としては最適になった。最近眼鏡をかけ始めたから完全に寄せに行ってる。
『自分から生まれたということはマスコミは嫌いだよな?』
『当然。
一応マスターは「良い人も中にはいる」というスタンスで行くの?』
『1%……0.5%……0.05%ぐらいなら良い人もいるかもしれないし、中には良い人もいる、というスタンスなら今後どうとでも動きを変えられるから』
「……イツキに頼まれたから解説するけど、まずテレビと新聞の説明からになるのかな?」
「新聞なら教会が配っている情報紙がかなり近いからある程度はイメージ出来ると思う。テレビはもう……タブレット見せた方が早いな」
自分とリーシャちゃんは、一番前の列で解説を聞くわけだけどまずこの世界の人には新聞やテレビの説明から必要になってくる。ただこの辺は教会が情報紙を不定期とはいえ発行してくれているのである程度はイメージしやすいかな。ちなみに毎日それなりの量の紙の新聞が発行されていることを知った異世界側の住民は驚いていた。そんなに書くことあるの?って。
……異世界側での新聞社設立を街の人に任せようと思ったんだけどこの感じだと無理そうだしインキュバスキングとサキュバスクイーンを使うか。あの2人もINTは高い方だったから新聞社の設立ぐらいいけるだろ。
ここでゆかりは、まずスポンサーについての説明を行い、出資をしている存在と新聞を定期購入する、消費者層の存在を説明する。……この辺はまだ理解出来る範疇なのか、みんなうんうんと頷いて聞いているけど本当に理解出来ているのかは謎。
そしてここから、発言の切り取りについての説明に入る。消費者への受けが良いように、スポンサーの意思を反映させられるように、意図的な発言の欠落や曲解の具体例を示す。
「例えばリーシャちゃんが『人殺しは良くない、仕方ないケースなんてない』と発言したとしよう。
……これを悪意ある切り取りをすれば見出し内容は『リーシャ氏が【人殺し、仕方ない】と発言』になる」
「そんな無茶苦茶なことが……!あるのですか。何なら捏造していないだけマシ、と」
「……もしかして今、勇者同士で会話してる?」
「……日本の元お笑い芸人さん?という勇者が教えてくれています」
「ええ、誰だろう……?記憶戻ってるのかな?」
ゆかりが最悪の事例を例として出すと、リーシャちゃんが無茶苦茶過ぎると反論しようとして、たぶん別の勇者にも同じような説明をされているのか百面相してる。目をぱちくりさせてるの可愛い。
ゆかりはこの後も説明を続け、報道しない自由やスポンサーに配慮した報道などの具体例も提示し、ゆかり自身、時々キレるような演技も見せた。これでこのパイロープの街の人達は全体的にマスコミ嫌いになっただろう。
最後に「あくまで今回の話はマスコミ嫌いな自分がマスコミを悪しき様に言っただけだけど……嫌いになったでしょ?一度偏向的な情報に触れてしまうと、元のフラットな視点には簡単に戻らない。だから情報をマスコミ以外の、他の日本人達からも聞いてみてから考えて欲しい」と締めてゲームセット。今のマスコミの解説自体も偏向報道の一種であると知らされた人達が、取材に来たという日本人に警戒しないわけないので役目はキッチリと果たしてくれた。
……自分達のパーティーが報道されれば、当然ながら日本のどこに住んでいたのかとか出身大学を調べようとする輩が絶対に出て来る。そこでいないとバレたら潜伏解除せざるを得ないから情報のシャットアウトは継続するしかない。リーシャちゃんは今回の説明について、ちゃんと全部理解出来たようなのでやっぱり頭も良いなこの子。
元お笑い芸人さんの勇者については、自分達がダンジョンを攻略した瞬間に記憶が戻った人のようで、それ以来リーシャちゃんと脳内掲示板でよくやり取りしているみたい。ネット友達みたいな感じかな。……もう前周との乖離なんて起きまくっているから今更だけど、自分達がダンジョンを攻略したなら当然そこでも差異が出来るよな。
前の周で元芸人の勇者が活躍したとは聞いてないのでたぶんそこまで目立った活躍は無かった勇者だろう。それこそ序盤に、記憶が戻らないまま死んだ可能性も高い。……なんか話している感じだと、その元芸人さんもこっちの世界に来そうな感じだ。これその元芸人勇者と会うことになったら、元芸人勇者が男か女かは分からないけど、面倒なことになりそう。まあ来たら来たらで対応は考えるか。
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