現代ダンジョンマスターwithコールドスリープ
インスタント脳味噌汁
プロローグ
ある日、目を覚ますと真っ白な部屋のような場所に木の机と椅子があるという空間に立っていた。分かりやすい非日常への導入をありがとう、と机の傍に寄ってみると、血の色のスープではなくパソコンが置いてある。
いや、パソコンではなくノートパソコンか。外見で機種はちょっと分からないけど小さくはない。持ってみると結構重いから2㎏ぐらいはあるかな。
会社のロゴとかはないからメーカーは不明。キーボードはオーソドックスな配列、というか使い慣れた自分のパソコンと酷似している。
とりあえずパソコンに繋がっているマウスを手に持ってみると、画面が白くなり文字が表示される。マウスは有線で、自分の使っていたゲーミングマウスではない。いたって普通の、手に沿うようなマウスだ。
『あなたはダンジョンマスターに選ばれました。チュートリアル前に、質問権が3回ありますがどうされますか?』
パソコンの画面に出される文字列は、ゴシック体に似ている。……ダンジョンマスターという文字列から、自分はまず異世界ファンタジー的な小説のダンジョンマスター系小説を思い出し、その後に最近は現代ダンジョン物の小説が流行っていることを思い出した。ノートパソコンという近代的なものがあるのと、パソコンの右下に今日の日付が書いてあることから、たぶん現代の方だろう。
選ばれた基準というのは不明だが、この手の状況をすんなり受け入れられる、が一つの基準になっているのだろうか。まずは質問権を3回与えられる。これは貴重だ。間違っても『ここはどこだ』みたいな質問に使ってはいけない。どうせチュートリアルとやらで大体分かる。となれば、この質問権は後回しにしたいな。全体的な世界観を把握してからの方が効率的に質問ができる。
「質問をチュートリアル後に行いたい。質問の後回しは可能か?」
そして喋ってから「あっ、やべっ」と声を出してしまう。もしもさっきの言葉で質問権を消費してしまうと、非常に辛い。しかしながら言葉で喋っても特にこのパソコンに変化はなく、よく画面を見ると質問欄とやらがある。それに、キーボードで入力をする必要があるらしい。音声に対応してないのかこれ。
……でも結局のところ、後回しは可能か?と質問する形で聞かないといけないかこれ?一旦自分は『質問を後回しにしたい』と質問欄に入力し、確定を押す。すると残り質問回数の欄に特に変化はなく、『質問より先にチュートリアルを行う』というボタンが出て来た。
あー、怖い。質問スキップしたら質問回数が0になる可能性とかもあるから安牌をとるなら『スキップしたら質問回数は減るか?』と聞くのがベターだろう。ただ、チュートリアルがあるならこの状況を作り出した奴は親切な奴という可能性もある。ここは賭けるか。どうせ今この時点で質問したところで、得られる情報がチュートリアルと一切被らないということはないだろう。
先にチュートリアルを開始するボタンを押すと、質問画面は最小化され、画面が切り替わり自分のいる白い空間が中央、メインに映し出される。自分の存在は画面上にはないが、机と椅子、パソコンは表示されてるな。これはあれか。ダンジョンを作るための画面か。
なんというか、こういうのって『ステータス』と叫んで出てくる透明な画面的な奴でやるものだと思ってた。画面内でドラッグすると、空間を回転できるしこの机とかも移動できるのかな。
メインの画面の下には各種パラメーターが表示されているけど、0DPと書かれているのは恐らくダンジョンポイント。これを使って拡張して行く形だろう。マウスオーバーで説明書と出てくるアイコンがあるし、チュートリアルに従う前にまずは説明書は目を通そう。
……ふむ。自分のような存在は1万人いると。全員、ダンジョンマスターとしての適性があるようで、たぶん自分のようにこんな状況になってもパニックに陥らず、淡々と画面に向き合っているんだろうな。
そして地球にダンジョンの入り口を作ることが出来ると。時刻が西暦表示だったからある程度は予想していたけど。DPの稼ぎ方で大きいのは、入ってくる人の殺害。だけど戦闘で発生するエネルギーやダンジョン内に生息する魔物からも継続的にDPが獲得できるらしい。とりあえずダンジョン内に生命体がいたら稼げるようなので、仕様自体は結構優し目。
自分が読んだダンジョンマスターものの小説とかだとランニングコストとかもあったんだけど、そういうのはないみたい?あ、初期のサイズならDPのランニングコストはないけどこの白い箱のような空間以上にサイズを拡張したらランニングコスト発生するんだ?魔物の方はDPのランニングコストがかからないけど、空間にはかかる。初期の拡張は安いみたいだけど、複数階層にしたり範囲を広げる度にどんどん必要DPもランニングコストも上がって行く感じ。
ここまで読んだところで、チュートリアルを開始する。まずは木のベッドが貸し出され、それを配置するところからね。なんというか、随分と手厚いサポートを受けられるようで涙が出て来そうだよ。
現代ダンジョンマスターwithコールドスリープ インスタント脳味噌汁 @InstantWriter
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。現代ダンジョンマスターwithコールドスリープの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます