青い海

海星

第1話 答えは私《あたし》

―――――――――――月夜が差し込む夜の海。


「なんかごめん」

「なにが?」

「なんかもうつまんないや。」

「そりゃそうでしょ。」

「んーー!…」


あまり背の変わらない彼女女神を包み込んで唸っていた。


「なに。どうしたの。」


いつだってこの女神は冷静。


「……目、つむって。」

「……。」


僕は一度…体を離してふんわり唇を重ねた。


「なんかいいね…凄く…純な感じ…。」

彼女が僕の目を見てそう呟いた。


「まるでクズみたいじゃん。」

「まるでクズ…。」


女神様が微笑みながら、僕の顔の前で指で円を描きながら大人に微笑む…。


「……咲さん。」

「なに?…」


彼女は…僕の肩に腕を回した。


「咲はこの海好き?」

「好き。」


「……いい匂い。」

「好きだもんね。あたしの匂い。」

「大好き…。」



何度も何度もここに来た。


この海には愛も悲しみも沢山詰まってる。

でも全て包み込んでくれるのがこの海だ。

この海が僕と女神を繋げてくれた。


一つの物語が二つ目の物語に繋がって、

その二つの物語から彼女を連れ出して、

今がある。



「……いい様にまとめたね。」

「天才でしょ。」


「能天気下半身」

「はい?」

「能天気下半身。」

「本来なら病気のデパートみたいなもんだもんな。」

「本当ね。近づきたくもない。」


「なんかさ。」

「うん。」

「『したい』ってマジで思う。」

「誰にでも言ってない?」

「『されたい』とは言う。」


「じゃあさ、教えてよ。どうしたい?」

「具体的に?」

「そう。具体的に。こんな会話誰ともしないでしょ。」

「しない。」

「…どうしたい?」


「…がっかりするかも。」

「しない。」

「怖い。」

「逃げないで。」


ゆっくりとした時間の中、

僕の頭の中には女神の声だけが暖かく広がる。


「……ぎゅってしてたい。それだけでいい。」

「…案外これが一番いやらしかったりするって知ってた?」

「…誰に教わったの?」

「あんた。」

「どうして?」

「あんたにこうされると触れて欲しくてたまらなくなるの。。。だからあたしもこれが好き。最初から襲いかかられても気分が乗らなければただの暇つぶしになるだけ。」

「……。」


「色んなことを色んな人に求めても答えなんてもらえないよ。だって答えはあたしなんだから。」



―――――――――――――――――――――。

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青い海 海星 @Kaisei123

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