第14話 なんか見直すっぽい②


よ~~~し、「資質」系の2ページ目にも、これまで見ることのできなかった驚きの情報が隠されているかもしれない。早速見ていくぜ。


胸をワクつかせつつ、俺は確認作業に取り掛かった。






◆▼家守やもり術マスタリー 2ページ目

【オススメポイント!:

家守術は日常生活からサバイバルまで、オールタイムで使える便利な魔法です!

〈火種〉は火をおこし、〈飲み水〉は喉を潤し、〈土石整形〉は食器や塹壕ざんごうを作り、〈送風〉は換気や掃除をし、〈照明〉は照らし、〈失せ物探し〉はその名の通りの使い道の他に、拠点への道標にも使えます。他の神々はあまりこの術を誉めませんが・・・私は素晴らしい術だと思っていますよ!


注意点:

家守術では神からの恩寵は得られません。またこれも家守術のみですが、他の資質を併せ持つことができなくなってしまいますので注意してください】





ほうほう。前任者さんは結構、家守術のことを評価しているみたいだな。確かにバラエティに富んだスキルセットだとは思う。しかし、今回判明したことがふたつ。


ひとつ、やはり神からの恩寵は無く、なんなら神々からの評価が低いとのこと。

ふたつ、他の資質を得られなくなるということ。ここまで来ると何か特別な扱いでも受けているというか、明確に他の資質と区別がされているように感じる。


つーか資質の2個持ちとか、意外と考えてなかったけど可能ではあるんだな。

火と水、光と闇、みたいなね。中二心が刺激されるぜ!



・・・神々からの評価が低いというのは、どういうことだろう。家守術は神に見捨てられた術なのだろうか。恩寵が無いということは、管轄の神様がいないということだろうしな。


この術は神が生み出し生物に与えた術ではないのだろうか?生物が自分たちの力だけで編み出した術、とかならアツいけどな。それとも、担当の神が今はいないだけ?とか。分からんな。



そういえばウォリック様は「土石術を使ってくれて嬉しい」というようなことを仰っていた。神は信者が増えることを喜ぶように、自身に関連のある術の術者が増えることを喜ばしく感じるのかもしれない。


だからこそ、何の神の庇護下にも入らない家守術は「信者になるかもしれない人」の数を減らすだけの迷惑な存在とされているのかもな。だから神々からの心象が悪い的な?




新しい情報が出てくるとついつい考察がはかどってしまう。

次、行きましょか!




次は火炎術師の資質だが・・・

ん。なるほどね・・・無い。2ページ目が無い。そういうこともあるのか。


まあ、これ以上書くことが無いっていう意味なのかな。Tipsとして注意するべきポイントが無い場合は2ページ目も無い・・・と。




ん?でもこれには2ページ目があるのか!




◆光彩術師の資質 2ページ目

【オススメポイント!:

回復の術を会得できる唯一の資質です。パーティで重宝されることはもちろん、自身の生存能力も格段に飛躍することでしょう。人が傷つくところは見たくない、そんな優しいあなたにオススメの資質です。


注意点:

神聖なるものに傾倒するあまり、精神汚染(小)を得ます。ご注意を】



◆暗鬼術師の資質 2ページ目

【オススメポイント!:

暗鬼術は主に知性ある生物に対して強く効果を発揮し、怖気おぞけを撒き散らします。

〈暗躍〉中は隠密行動に対してボーナス効果が付与され、思わぬタイミングでの奇襲を成功させるでしょう。闇に紛れ、影から仕事を完遂する。慎重なあなたにオススメです。


注意点:

邪悪なるものに傾倒するあまり、精神汚染(小)を得ます。ご注意を】





ほ・・・ほう・・・「精神汚染」・・・ねえ・・・


なにそれ、怖くね。


「資質」系の中でも強力な恩寵持ちの2つ。こんな隠された罠があろうとは・・・

なんか前任者さんも若干引いてるというか、半歩引いて距離を置いている感覚だな。


あ、気づいちまった。「精神汚染」にDDRが効きそうだな・・・単語の色味を見るに・・・


んじゃ、新出単語として確認してみますか。大体わかるけども・・・



ススッ



【精神汚染: あなたの中に、あなたのものではない感情が芽生えます。それはあなたを救いもし、壊しもするでしょう。自分が自分であることに誇りを持っているのであれば、これから離れることをお勧めします】



うわぁ。簡潔だけど、めちゃくちゃ注意喚起してくれてる。やっぱ俺、前任者さんのこういうとこ好きだわ・・・。




てか、キモすぎるな。悪意が云々うんぬんとか言ってきたけど、これはやり過ぎ。

洗脳まで、するかあ・・・そんなことまで、やってくんのか・・・キャラクリって・・・




・・・・




であああ!!気づいてしまった。



「仮決め」の検証!先にしなくてよかったあああああああああああああああ!!


喧嘩術スキルを仮でセットした時点で〈ケンカキック〉を使えたということは、

仮だとしても対象のスキルの全てを享受できる、できてしまうということになる。


「精神汚染」持ちのスキルを「仮決め」でセットしていたらどうなった??



恐らくその時点で汚染は効力を発揮。自分の意思で汚染スキルを外すことができなくなり、オリジナルの「俺」にはもう戻れなくなっただろう。自覚も無いままに。




ハッ、ハッ、フゥ、フゥ


怖え。息が乱れる。

俺は、ありえた。検証の途中で「2ページ目」のことに興味が移っていなかったら?

そのまま「仮決め」の検証を進めていた!!ありえたんだ!!!



畜生!!馬鹿にしてんのか??

俺の脳ミソいじくろうとしてたんか!?クソ!クソが!こんなもん!!



タブレットをテーブルから払い落とす。

気持ち悪いものを見るような目で、俺はそれを見下ろす。






慎重でいたつもりだった。石橋を叩きまくって、壊れるんじゃねえかってくらい慎重に進んでるつもりだった。それだけに、屈辱だった。


ターシャ様や、ウォリック様もグルなのか・・・?

いや、そんな悪意は感じられなかった。恐らくこんな「汚染」の存在すら知らないままに加担させられているのだろう。このキャラクリに。そう信じたい。


聞きたい。俺の好きな神様たちに、この惨状を知っているのか?と。

しかし、怖い。神様づてに、この「悪意」を持ち出した元凶の神に俺の存在が認知されてしまうことが。


バレたくない。気付いたヤツがいる、ということを。

この世界には悪意に満ちた神がいる。確実に。一度死んだ命だからと、洗脳したって問題無いだろうと軽く考えているヤバいやつがいる。



ここは黙ってしかるべきだ。何かアクションを起こすべきじゃない。

何をされるか分かったものじゃないもんな。二度目の人生を瞬殺される可能性が高い。転生キャンセルされちまう。きっと。





フウ。落ち着くんだ。

厳しい世界が待ってるって、そうやって想定していたじゃないか。

それが”もう始まっていた”ってだけさ。


読み直しを続け、「精神汚染」持ちスキルを探そう。それを避けるために。

俺が、俺のままでいられるように。



険しい顔つきでタブレットを拾いなおし、決意を新たに着席した。





よし、続けるぞ・・・!





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