新世界の攻略者〜βテスターとして新世界を攻略!?〜

ケイ素 料理警察

第1話 新世界

おっはよう!!


 俺の名前は伊藤龍司(いとう りゅうじ)、現役大学生の十九歳だ。もうそろそろ二十歳になる。


 今日はなんと、日曜日…授業もないが早起きをした。結構偉いと思う。


 俺は、日曜日の朝に日課があるのだ。この日課は小学校ごろから始めて、今は十三年ほどの時がたつ。


「今日も、いい天気だなぁ」


 週一のイベントである朝の散歩に出ているのだが、いつもこの辺りであいさつするおじいちゃんが見当たらない…元気でもないのか?一週間前はつえもつかずに歩いていたから意外だな…


 もし風邪や怪我なら早く元気になってほしいものだ。










 いやいやいやいや……明らかにおかしいだろ!?どうして誰もいない?


 いつも走っている若いお姉さんは?あのたゆんたゆんなお胸はどこ?


 お婆ちゃんは?いつも犬の散歩をしているというのに…


 偶に会う、おっちゃん………は別にいいか。



 とりあえず、街の様子がおかしい事に気づいた俺は一度家に帰り、持ってくるのを忘れたスマホで警察…いや消防に電話する事にした。


「お、スマホあった。…………ってどうして繋がらないんだ?…他のやつに電話かけてみるか」


 大学の友人に電話をかけてみることにした。


「だからどういう事なんだ…?なんで誰も繋がらない、電話に出ろよ!?」


 友人に電話が繋がらず家族にも電話をかけてみたのだが、誰も俺の電話に出ることがなかった。


 どういう事なんだ?本当に何が起こっている。


 とりあえず、もう一度だけ外に行くとするか……


 俺はもう一度、商店街へ赴き人を探す事にした。ドッキリにしては手が込んでありすぎるし、何が起こっているんだ…


 ☆☆☆


 俺は…いつも散歩をしている商店街へやってきた、やはり誰もいない。いつも居る八百屋のおじさんも、本屋で立ち読みしている中学生達も……誰もいなかった。



「……誰かいるのか!?」


 コツンッコツンッコツンッと、足音が響いた。その足音は革靴を履いているのか、それとも床がそういった素材なのか、しばらくコツンッコツンッと足音と思われる音が鳴り響いた。



「こんにちは、βテスター龍司。僕は…そうだなゲームマスターと呼んでね」


 目の前に現れたスーツ姿の男が言った。そいつの顔は見えずモヤがかかっていた。


「どういう事だよ、意味がわかんねぇ」


「後のことは、メッセージにてお伝えするよ。じゃあね龍司、また会おう」


 そう言うとゲームマスターを名乗る男は、光の粒となり消えていった。



【メッセージ】

 βテスター抽選の当選おめでとうございます。

 この抽選は、全世界にて全人類に自動で行われ、当選した者には新しい世界…新世界の先行体験を行ってもらいます。


 スキル付与を行いますのでしばしお待ちを。


 この世界で貴方は生き残れるのか……それとも無惨に殺されてしまうのか……それは君次第だ。


 新たな世界を、君の目を通して見させてもらうよ。先行体験の感想楽しみにしている。


 報酬は元の世界と…あとはその時考えておくよ。



 そろそろスキル付与が終わる頃だろう。またメッセージを送らせてもらうよ、質問があれば付与したスキルにそれらしいのがあるから、聞いてみてくれ。


 以上、ゲームマスターより


 ☆☆☆


「……どういう事なんだ!!もっと説明してから消えろよ!?なんだよスキルって!?まるでゲームじゃねぇかよ!」


 スキルってのは、元気ってのは非現実的だからいいんだよ、何が新しい世界だ!?何が……家族を返せよ…たゆんたゆんのお姉さんを返せよ!!



「報酬が元の世界?他はその時考えておくだァ?最初から教えろよな!?この新世界に何があるって言うんだよ!?」



 ギャァグギャァ


 おれが声を出して、叫んでいると微かながら遠くから声とは呼べない何かが聞こえた。


「誰かいるのか!?返事をしてくれ!」


 俺は聞こえた方向に走って行った。だが、人影が見当たらない……


 どこに、居るんだ…?あれは……な、何なんだよ…?




「グチャァ?グギャァ!」


 振り返ると、緑色の醜悪な姿をした化け物がいた。それは、ゴブリンと呼ばれるゲームやラノベでしか見た事のない魔物と呼ばれる存在。


「……な、なんだよ…」


 クソッ、何なんだよ!?


 おれは逃げた、精神が恐怖に襲われ街を出て自分の住むアパートまで走り込んだ。


 逃げる最中にも、多くの化け物を見つけた。そこにはゴブリンの親玉のような存在も目にした。


 こちらに気づいていないのか、それとも見逃しているのか、あのスーツ男の計らいなのか。とにかくアパートまで逃げ込むことができた。




「本当に、狂ってやがる…あいつは誰なんだ?あいつは神なのか?」


 俺は、俺はどうすればいいのだろうか……俺はもう一人になってしまったのだろうか。


「新世界ってのは何なんだ!?」


「あれはゴブリンなのか!?他の化け物もう何なんだよ!?」


「ここは…ゲーム世界とでも言いたいのか!?」


 俺はたくさん叫んだ。もしかしたら化け物にバレたかもしれない、それほど叫んでしまった。今までで、一番声を出したのかもしれない……



【こんにちは、マスター龍司。私はスキル『ワールドメニューβ版』と申します。目の前に今からARメニューを出現させます。】



 すると、目の前に半透明に移る物が現れた。



【先程の問についてですが―――】



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