荒地の開拓者たち

万木

荒地の開拓者たち

 ベンチで惚ける大人がひとり

 朧な視界に映るもの


 遊具をたのしむ子どもがよにん

 ぐわんと回る意識をたもち

 険しい斜面を滑り降り

 天頂めがけて飛び上がったら

 世界の果てまで漕ぎいだす


 彼らは荒地の開拓者


 大人ももともと開拓者

 いまでは恐怖で足すくむ


 子どもの傷は大勲章

 大人になったら大負債

 借金取りに気をつけろ!

 あいつら地獄もついてくる


 笑う子どもと泣く大人

 彼らのこころを相照らす

 空からそそぐ白天日


 こころに光る虹の欠片は

 だんだんだんだん沈んでく

 底なし沼の底の花

 

 もいちど水撒き育てれば

 きっと返り咲く星の花

 

 ベンチで惚ける大人がひとり

 まどろむ視界に映るもの


 どろんこまみれの子どもがよにん

 こちらに手を振り笑ってる


 微笑みながら振りかえし

 がっちり腕組み目をつむる


 がんこおやじのお決まりポーズで

 秋の陽射しを浴びながら

 あの頃から変わらずにいる

 虫食いもみじの雨を受く

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荒地の開拓者たち 万木 @dear__you

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