第1話 え、もしかして補正2つ以上あったりする?

今日は朝から僕の苦手な剣の練習なので帰りたいのだが、、、周りにいる警備員のせいで逃げることができないのだ。

「お坊ちゃま、、、やはりまだやらなくても良いのでは?」

少し言い方を、、、いやかなり間違えた。自分からやると言ったから自分から辞めるような身勝手なことが出来ない、いや、したくないのだ。

「いにぇ、までゃぁまでゃあやりはじみぇてぁばっかですかりゃ(いえ、まだまだやり始めたばっかですから)」

あ、改めて自己紹介をしておこう。僕は異世界転生し乙女ゲームの悪役令嬢の弟になったシルスコイン。嫌いなものはヒロインこと聖女とこの国の王子。好きなのは家族とこの領地の人!僕は将来この領地を守るためにそして家族を守るために強くならなければならないのだ。まあ別に焦っているわけではない。だって本編まで10年もあるのだから。あ、ちなみに今は生まれてから2年経ったばっかのピチピチ2歳児!!それもただの2歳児ではない。先程のように完璧ではないが喋れるハイスペック2歳児なのだ。そして既に立つことも出来、魔法も扱うことが出来るスーパー天才2歳児なのである。

「きょおもよろちくおねがいちましゅ、きちだんちょ(今日もよろしくお願いします、騎士団長)」

そしてただ扱うことや、出来るだけではなく、しっかり応用まで完璧にこなせるようになっていた。

「ぇぇ、遠慮なくいかせて頂きます。お坊ちゃま」

彼女の名前はシセラ・フォンディ。フォンディ勇爵家現当主の姉であり、公爵家の騎士団長である。その強さはまさに天下無双で王国の第1騎士団長以外勝てないほどだ。尚、その人はフォンディ勇爵元当主でシセラの父上なわけだが。

ちなみに今の僕では彼女の2割程度しか引き出せず、それでも圧倒的な差を見せつけられる。剣を1度弾けばまたすぐ剣が襲ってくる。僕が追いついていけている理由は身体強化魔法を重ねがけしているからだ。そこで僕は少しタイミングをずらして木刀に成長魔法をかけて、リーチを長くし、独自に生み出した風と火の複合魔法【浮遊】で上に飛び、上から体重をかけて斬りにかかる。

「お坊ちゃま、さらに強くなりましたね。かなり本気で行ってましたが、まさか追いついてくるとは思いませんでした。」

片手剣で僕の攻撃をいなしながらそう告げる。実を言うと彼女は双剣の使い手なため、2割、片手剣というハンデがある。だからこそもどかしいのだ。1割は1歳の5ヶ月でクリアした。身体強化魔法と成長魔法を初めて見せたからというのもあるが、かなり裏を着いたやり方だった。

「こうにゃったりゃ、、、雷魔法、水魔法、、、複合魔法【転移】!!」

これは2歳の誕生日に買ってもらった複合魔法の全書から得た騎士団長の裏をかく作戦の1つ。雷と水の複合からできる【転移】という魔法。そして完全に裏を取った僕は横腹を叩こうとするが、それは叶わなかった。それは一瞬の出来事で、身体強化でようやく分身して見えたくらいだ。一瞬で後ろを向いて、僕の木剣を弾き、まるで時間を止めて自分だけ動けるかのように僕の突っ込んでいく経路の横に移動し、僕はいつの間にか彼女に捕まっていた。

「え、え〜、、、に、2割に1太刀じゃにゃいの?めっちゃはにゃくにゃらにゃかっちゃ?(2割に1太刀じゃない?はやくならなかった?)」

本当に全く見えなかった。これがこの乙女ゲー世界最強なのか、、、ちなみに今は2番手だが、父親が現役を引退するため、1番強いということとなった。まぁゲームではそれがかなり悔しく、裏設定でそれから父を倒せるまで毎日僕を送る前に家に行き叩き起して、戦うことが日課になっているだとか。

「ししぇら、、、2割っていってたじゃん、、、意地はりゃないで!」

今回が1番惜しかったのにまたあたらしい戦略を組む必要ができてしまった。それも転移という新魔法を使ったのにだ。なんてやつだ。

「、、、まあ確かに、今回は少し意地悪をしましたね、、、まぁ次回は3割でいいでしょう。ただし!私は負けていませんので、それに本気を出していませんから!わかりましたね?」

それとこれはシセラを観察していてわかったのだが、彼女はかなりの負けず嫌いらしい。いや、極度のと言った方がいいか。負けるということが1番嫌いらしく、負けは絶対に認めないらしい。まぁ、強さは認めているが、そろそろ大人になって欲しいものだ、、、まぁ1番の子供は僕なのだが。

そして昼食を家族と食べると、次は魔法の練習に行く。

正直な話、魔法については古代級エンシェントと言われている。ちなみに、魔法使いの強さはランク付けされており、一番下から、普通級コモン希少級レア最高級エピック固有級ユニーク古代級エンシェント伝説級レジェンド幻想級ファンタズム神話級ゴッドなので、中の上くらいである。ただ、この国では伝説級レジェンドが1番上で、この世界でも2人しか幻想級ファンタズムが居ない。神話級ゴッドはかなり昔2人居たらしいが、今では神のような存在とされている。それと古代級エンシェントも一国に5人いるかいないかレベルなので、僕は本当に神童と呼ばれる類の存在らしい。だからといってそこで足踏みをする気はない。悪役令嬢の破滅ルートに1つ帝国が関係している。帝国は世界に二人しかいない幻想級ファンタズムが居る。だからこそ同等、もしくは未だ到達者がいないとされているに到達するしかないのだ。

「古代魔法 エネル ガープ」

あれになるには少々時間がかかる。だからこそ今のうちに最低限強くなっておかなければならないのだ。まずは古代魔法を完全に応用できるところまでを4歳までに、、、ならな、、、けれ、、、ば、、、

そこで僕は意識を失った。何故かは知らない。だが、何が起きたかは次目を覚ました時に気づいた。

「くっ、、、不覚だったにゃ、、、ましゃか、、、捕まりゃとは、、、」

僕はいつの間にか盗賊に捕まっていた。

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