第9話 レベルアップのために!



 何が始まるのだろうと、考えながら案内された病院の一室には一台のルームランナーがありました。




『じゃあ、今日はパンを1枚食べた後に症状が出るまで、このルームランナーで走って下さい!』


「はひっ!?」



(え、症状を起こすまで走るの!?)


 前日に、パンを食べただけでは発症しないことが確認されたため、運動誘発のアレルギーの可能性が高いだろうと推測された私は、強めの運動を余儀なくされました。

 逆に、これで症状が出れば運動との因果関係がつかめるので原因がはっきりします。

 危険が伴うため大きな病院でしかできない負荷テストです。

 これを逃すと、またいつかできるかわかりません。

 もぐもぐとパンを水だけで1枚食べたのちに、ルームランナーに飛び乗りました。



「ええいっ、やっちゃってください!」


『ぽちっとな☆』



 と、ハンナ医師がいったかいわないか……。



 機械が動き始めました。

 徒歩のスピードから段々早くなり、終いには息を切らして走るところまで行きました。



 もう、アレルギーがどうこうというレベルではありません。必死です。

 輸液の点滴を受けながら、ランニングマシーンで髪を振り乱し走る病衣のわたし


 絵的にホラーです。



「ぜいぜい……先生、もう走るの無理ですっ!」


『うーん、まだ症状が出ないですね。もう3分がんばりましょー!』


「ふぇぇん。蕁麻疹が出る前に、心臓が止まりますぅ~」


 かくして、10分程度激しく走った私ですが、ついぞ症状は現れませんでした。

 よかったのか悪かったのか……。



 ただ、症状が再現されないということは、頻度として100%出るわけではないという意味もとれます。


 

 そこから導き出される答えは……?

  

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