拙詩

理性

シリウス

一番明るい星、それは『金星』らしい。


今にもアパートに消え入りそうなそれは、僕が少し前に屈めば、アパートの背中に消える。


僕の尺度と角度でギリギリ輝いてるそれは、今、自分が消されそうにも関わらず、胸を張って「俺はここにいる」と言っている。


僕はそれと目を合わせたまま紫煙を吐く。


久しぶりに短くなるまで吸ったもんだ。


僕が立ち上がると、それはもともとそこにはなかったかのように消えた。


吸い殻を捨てると視線を感じる。


見上げた先は、負けじと光る星が。


それを人間ぼくらは、「シリウス」と呼ぶらしい。

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