第8話
「おっw珍しい組み合わせ〜wけど、なんか重い空気が流れてた希ガスするけどw」
「ゆっちん!希ガスは重くないよ!矛盾しちゃってるよ!」
「そうなん?ウケるw」と、こちらの空気が重いとわかってもなお、いつもと変わらない様子で話しかけてくる彼女達。
いや、今この時に関してはそんな能天気さがむしろ嬉しかった。
「それーでー?なーにはなしてたーん?w」
「これはきっと、陰謀論の話だよ!最近噂になってるでしょ!不幸の手紙!」
「あんた意外とそういうの好きだよねw」
そんな2人を見ながら舞は「大した話じゃない。昔の思い出話をしていただけ」と、慣れたように上手く躱す。
「おー!昔話!いいねいいね!私も混ぜてよ!つーくんが私のパンツ盗もうとした話とかしよー!」
「なんそれ!?wうち知らないんだけどw絶対おもろいじゃんそれ!」
そんなハイテンションな2人はそのまま無理やりベンチに座ってきて、まるで10年前と変わらないように並んで楽しく話を始める。
「なんかねー、つーくんが女の子のパンツってなんか違うから見てみたいとか言ってきてね!」
「ち、違うでしょ。あれは愛が勝手に脱いだパンツを俺に見せてきて...」
「痴女じゃん」
「ウケるwそんでそんで?w変態男はその後どうしたん?」
それから2人からいじられ、舞はツッコミ、俺はなんとか弁明と誤解を解こうと必死になっていた。
その頃には自然とみんな昔のようにあだ名で呼ぶようになっていて...。
その瞬間、俺は月の言った意味を理解した。
月が守りたかったものってこれだったんだ。
確かにこの関係はすごく楽しくて、時間を忘れるほどに話は盛り上がって...。
すると、父さんから連絡が来て『早く帰ってこい』と言われて我に返る。
「あっ、やばい帰らないと」
「おっ、まじ!?wもうこんな時間w」
「やばい、私も帰らないと」
「走るぞ!我が幼馴染友よ!」
体力お化けの愛はものすごいスピードで走り、続いて舞もそれに並ぶ勢いで早く走る。
全く運動しない俺は、ヘトヘトになりながら家に向かって走っていると、俺の更に後ろに雪乃がいた。
「むっ、むりぃ!...うち...走るのとかマジ...」と、少し走っただけで息が切れているようだった。
「...大丈夫?」
「ウケるwそれはこっちのセリフ。聞いたよ...。こくったんしょ。月に」
いつになく真剣な顔でそう言った。
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093088840125185
「...うん」と、少し驚きながらも素直にそう返事した。
「月の答えも聞いた。まぁ、月は本当昔から私たちのことが大好きだからねー。そんな月を私も大好きだけど。けど、変わらない関係なんてないし、終わらない関係なんてない。いつかはこの関係も終わる。舞が変わったみたいに。きっと、大学もそれぞれ違うところに行くと思うし、いつかは結婚して会うのなんて1年に一回くらいになるかもね。って、月に言ったよ。悲しい顔してた。でも、いつかは来るから。先延ばしにしちゃいけないんだよ。私の言葉の意味わかる?」
語尾にwを付けずに喋るその姿は昔とは違ったように見えた。
ちゃんと大人になって変わっていないように見えてもしっかり、変わった部分があるんだ。
俺だってそうだ。誰かに憧れられている自分はもういない。変わらないことなんかないんだ。
変わらないままでいようなんて綺麗事。
それは変わらないように見せているだけの紛い物。
そんな偽物に意味はない。
多分、雪乃が言いたいのはそういうことだ。
「...傷つかずに手に入るなんて思うのも間違ってるし、傷付けば手に入るなんてものでもない。しっかり、向き合いな。みんなとも。私とも」と、言い終えて一瞬顔をした負けた後は、いつも通りのいやらしい笑顔に戻って、「ほいじゃwまたねw」と去っていった。
...ありがとう。
言いそびれた言葉を静かに吐いた。
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俺には4人の可愛い幼馴染がいた。その子達と10年ぶりに再会をしたら、学校の美少女四天王になっていた 田中又雄 @tanakamatao01
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