俺には4人の可愛い幼馴染がいた。その子達と10年ぶりに再会をしたら、学校の美少女四天王になっていた
田中又雄
第1話
「ね!つーくん!いこっ!」
「つーくんは私と遊ぶの!」
「つ、つーくん困ってるよ...?み、みんなであそぼ?」
「わ、わたしは、べっ、別に遊びたくないし...」
そうして、両手両足を引っ張られる。
全員が俺の幼馴染であり、生まれた日も生まれた病院も同じで、2歳くらいからずっと一緒に育ってきた。
小さい頃の俺は活発で、リーダー的な存在であり、幼稚園の中でも人気の男子だった。
特に幼馴染達からは猛烈なアプローチを受けており、生意気にもそれを上手く躱していた。
そんな様子を見ていた彼女たちの親御さんからは、「つーくんと結婚するのは誰だろうねー?」と言われるぐらいにチヤホヤされていた。
俺たちはいつも一緒で、これからもずっと一緒にいるはずだった。
しかし、幼稚園卒園のタイミングで親の仕事の関係で遠くに引っ越すことになった。
皆んなからは「行かないで!」と言われて、「毎日電話しよう!」とか言われていたが、それも数ヶ月経つ頃には無くなって、関係はほぼなくなった。
その後の俺の人生はなかなか平凡で、モテ期のピークを幼稚園に持っていってしまったらしく、そういったことからも縁遠くなって、10年後にはただのどこにでもいるモブ男に成り果てた。
そうして、16歳になったタイミングで、再び親の仕事の関係で地元に戻ってくることになった。
変わらない街並みと、一部変わった風景に少し懐かしさを覚えつつ、荷解きを終えた6月1日であった。
◇2024年6月1日(土)16:15
「...すまんな、また転校になって」と、親父は申し訳なさそうに俺にそういった。
「いや、仕事なら仕方ないでしょ。もう慣れたし。それに特別仲がいい人がいたわけじゃないし、別にいいよ」
「...そうか。仲が良い子がいないのは...転校が多かったからだよな。すまん」
「シンプルに人付き合いが下手なだけ。リセットしたいと思ってたくらいだし、気にしなくていいよ」
「そうか。数年はもう移動はないから安心してくれ」
「うい」
そうして、新しい俺の部屋に挨拶をする。
「よろしくお願いします」
引っ越してきたのは3LDKの築10年ほどのよくあるマンション。
慣れた手つきで片付けを終えると、窓から外を見る。
4階ということもあり、それなりにいい景色が目に入る。
すると、下の方に俺が入学する予定の高校の制服を着た女子4人の姿が目に入る。
遠目でも分かるほどかなり華やかで綺麗な見た目の4人に思わず目を奪われる。
「あんな可愛い子がいるのか」
そう呟くと、そのうちの1人がこちらを見た気がして、急いで窓を閉める。
どうせ関わり合うことのない側の人種だろう。
ベッドに沈み込んで、疲れもあってかそのまま眠りについた。
◇2024年6月10日(月)
転校初日。
見慣れないし、着なれていない制服に腕を通して、ネクタイを締める。
「...うし」
朝食を食べ終えると、家を出た。
「行ってきます」
携帯の地図アプリを使いながら、初めての高校に向かう。
俺の登校ルートは丁度生徒が多いゾーンらしく、楽しく会話する男女たちをぼんやりと眺めながら、それからはながらに身を任せながら高校に到着した。
すぐに職員室に行き、挨拶をする。
どうやら、俺のクラスは2年3組らしい。
そうして、学校について軽く説明されて、チャイムと共に先生についていく形で、教室に向かった。
多分、この高校でも俺に友達はできないだろう。
そうネガティブに思いながらボーッとしていると、「入ってきていいぞ」と言われる。
「...はい」
そうして、扉を開いて中に入る。
黒板の前に立つと、先生の合図ともに自己紹介をはじめる。
「...清水谷高校から来ました、関原 司です。趣味は読書とアニメです。仲良くしてくれると嬉しいです。よろしくお願いします」と、テンプレの挨拶をするとまばらな拍手が起きる。
次の瞬間、椅子が倒れは音があちらこちらから聞こえてくる。
顔を上げると、可愛い女子が4人、こちらを見ながら立ち上がっていた。
そして、4人同時にこう呟いた。
「「「「...つーくん?」」」」
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