─世界改変により世界が変わる─スキル「精霊召喚」で無双します

まめだいふく

─世界改変─

……君はこの世界が憎いかい?



あぁ、憎いね。



……壊してしまいたいと思うかい?



もちろん。そう思うね。



……ふふっそれでは私が力を貸してやろう。




急に何の話だ?

というかコイツは誰だ…?



銀色の髪を腰辺りまで伸ばし緋色の目をした少女がいた。

何より目を見張るのは、降ったばかりの雪のように光のこもった肌だ。

美少女か?と聞かれれば10人中みんな満点を出すだろう。




……私の事が気になるかい?



声に出したつもりはないんだがな。



……声に出さなくてもわかるさ。私と君は心が繋がっているからね。



繋がっている?意味がわからない。



……そぅ慌てなくてもすぐにわかるさ。ほら、そろそろお目覚めの時間だ。会える日を楽しみにしているよ。






愛しの我が主様…


   



───────────────────


ジリっじィジジリィジリィっぃぃぃジッジリィ



暗い部屋の中に、明るい光が平たい板のような形に射し込んできている。雨戸の隙間から射す朝の光だ。

それと同時に独特なテンポで音を鳴らす目覚まし時計が部屋全体に響き渡る。



「あぁうるせぇ!……これもさすがに買い替えるか。」


そんな独特なテンポが俺を夢の中から引っ張り出してくる。


なぜ、スマホのアラームにしないかって?

なんだかんだで気に入ってるからに決まってるだろ。


ベッドから重たい腰を上げ雨戸を開けた。


その瞬間薄暗い部屋が朝日によって照らされ思わず目をすがめた。


少しシワがある着慣れた制服へと袖を通し学校へ向かう準備をする。


一般的な家庭なら香ばしいパンの匂いや、コーヒーの香りなどがしてくる時間帯であろう。

そんなものは家族が居ればの話だ。

一人暮らしの俺にとっては無縁の話である。


トーストにパンをセットし、コーヒーポットの電源を入れたら準備完了だ。


待っている間に俺の話でもしようか。 俺の名前は山本 凪やまもと なぎ

東京にあるごく一般的な高校に通う男子高校生だ。

身長は170センチくらいで、体重は45キロ。痩せすぎなのは言われずともわかってる。

髪は少し茶色味のかかった黒。目が少し隠れるくらいの長さでセットなどはしていない。

目つきが悪いからこのぐらいの長さにして目立たないようにしている。


えーと、朝はパン派!

親はいない。…なぜって?

小さい頃に捨てられた。

母方の祖父に引き取られたんだが、引き取ってすぐに祖父も死んじゃってな、残ったのは金と家だけだ。


理不尽だよな。親に捨てられ、その上たった一人の身内さえもすぐに居なくなってしまうなんて。

正直世界なんて滅びてしまえばいいとも思う。

とまぁ、自己紹介はこのぐらいにしておこうか。


トースターからチン。と音がなり、コーヒーポットがブクブクと音を立て、ほろ苦い香りが部屋全体を包み込んだ─



玄関で靴を履き「行ってきます」と、返事のないセリフを口に出し家を出た。




そぉいえば変な夢見た気がするんだよなぁ…

なんか美少女が居たってのは記憶にあるんだけどなぁ。まぁいいか…



学校に着き、校門を潜り、上履きに履き替え2階にある自分の教室へと向かう。

クラスは全部で5クラスあり俺は1組だ。

階段を上った先にあるのが俺のクラス。席はテンプレのような窓際。

「おはよう」などと挨拶してくる人はいない。例外はあるが。



「よぉ!やまもとぉ、今日も元気か?」

「「「ギャハハハ」」」



ポンポン。と頭を叩きながら声を掛けてきたのは、俺をいじめてる主犯格。

名前は荒木 修二あらき しゅうじだ。

髪を真っ赤に染めていて、口と耳にこれでもかとピアスを付けている。いわゆる不良だ。

そんで、品の無い笑い方をしてるのが、その取り巻きーズである。


「おい!シカトしてんじゃねぇよ!!」


荒木が声を荒げ俺の目の前の机を蹴る。

蹴った拍子に教科書などが引き出しから床に落ちていくが、いつもの事なのであまり気にしてはいない。


「修二が挨拶してんだから返事ぐらいしろや!」

「ちっ。朝から元気だな荒木」


凪は面倒くさそうに、舌打ちをし、ぶっきらぼうに返事をする。


「何舌打ちしてんだよ!荒木様だろうがっ!てめぇみてぇなクズはさっさと死んじまえ!」

「ギャハハ、修二くんまじやべぇわ」


机の次は俺の座っている椅子を蹴り始めた。

その拍子に椅子から転げ落ち。床に転がる。

床に転がった俺は、為す術べなく荒木に殴る蹴るの暴力を浴びせられる。


なんで俺がこんな目にあってるかって?

きっかけはほんと些細な事だった――



入学式の初日。校内を歩いている時に不良とたまたま目が合った。それが荒木だった。ホントそれだけだ。


「てめぇなに睨んでんだよ。」

「睨んでねーよ、生まれ付き目付きが悪いんだ。」


全てはここから始まった。

その程度の事で?と思うだろう?俺もそう思う。学生なんてその程度の理由があれば充分なんだろう。


手加減という言葉を知らないのか、本気で殴る蹴るなので、かなり痛い。

凪はクソ。っと心の中で悪態を吐きながら身体を丸めて荒木達が満足するのを待った。

反撃はしない。一度反撃した事があるんだが、その時はボロクソにぶっ飛ばされた。

後から聞いた話によれば、昔格闘技を齧っていたらしい。そうゆうのは早く教えといて欲しい。


もはや見慣れた光景なのだろう。クラス連中は相変わらず知らぬ存ぜぬだ。

なんならこちらを見て笑ってる奴すらいる。1人を除いて。


「こぉらー!!また貴方達ね、いい加減にしなさい。」


彼女の名前は瀬戸 凛鳴せと りんな。このクラスの委員長だ。

荒木が俺をいじめ始めると現れるという不思議な女の子である。

見た目?そうだな……艶のある黒くて長い髪を片方に集めて髪留めで纏めている。

なんでも学年で1番可愛いとか言われてるらしい。

親が警察官らしく正義感が強く、見た目からは想像できない少しめんど…いや、真面目な女の子かな。


「ちっ!瀬戸が来やがった。行くぞお前ら」


いつも唐突に現れる瀬戸に対しては、さすがの荒木もめんどくさいのか、取り巻きーズに声を掛け早々と去っていく。


「凪なぎくん大丈夫?」

「あぁ、悪いないつも」


ぶっきらぼうに答えながらも、一応感謝の言葉を口にする。

なぜ学年1可愛い子が助けてくれて、その上名前で呼ばれてるのか?そんな事は知らん。


「んーん。これもクラス委員の務めだから」

「そうか。」


短い会話を終わらせると。俺から視線を切りクラスメイト達に挨拶をしながら自分の席に戻っていく。


瀬戸が自分の席に戻ると、クラスメイト達の視線が無くなり、急激に睡魔に見舞われる。


もはや身体が覚えてしまっているみたいだ。


荒木来る→殴る→瀬戸来る→荒木逃げる→俺寝る


冒頭の部分がなければ

平和な学校生活なんだけどな。

そんな事を考えながら頭を伏せ。惰眠にはいる――





ガタガタガタガタガタガタ………



ブワッブワッ 地震です。 ブワッブワッ 地震です。


クラス中に嫌な警告音が鳴り響く。



ドンッ!!と床の辺りから突き上げてくる揺れが起こり、その瞬間大きな縦揺れが始まった。


「「「キャーーー」」」

「おい、やばいぞ」


クラス中?いや学校中か、外からも悲鳴が聞こえてくる。


ガチャーン、パリン。と

棚の上に置いてあったものは床に落下し、掃除道具が入ったロッカーは倒れ。窓ガラスは割れる。


「みんな机の下の隠れて!」


1人冷静に指示をしているのは、もちろん瀬戸だ。

彼女はいつも冷静だ。取り乱している所を見た事がない。

ともあれ、俺も机の下に隠れ揺れが落ち着くのを待つとしよう。


どのくらい隠れていただろうか。

揺れが落ち着いたみたいだ。


立ち上がって周囲を確認するが、まだ地震が続いてるかのように感覚が残っていて、気持ち悪い。


スマホの着信音が鳴り響き、電話をする者、啜り泣く者、窓から外を見る者、散らかった物を片付けてる者が見て取れる。


俺は………特にする事ないな。帰るか


電話をする相手もいない俺はクラスの奴らを横目に教室を出て早々に昇降口に向かう。


勝手に帰ってもいいのかって?

もちろん駄目だろうが、俺が居なくなった所で誰も気づかないであろう。


凪は一人そそくさと教室を出ていくのであった。




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最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

小説を書くのは初めてになりますので、文章が拙い所などあると思いますが読んでもらえると嬉しいです。

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