第46話 計画変更

 久々に見ることのできたアマテラスの姿ではあったが、彼女の少しでも力を加えれば折れてしまいそうな程に華奢な首や右手で、異様な存在感を放つ銀色の輪。

 アマテラスの衣装に全く似合っていないことが、そのちぐはぐさにより拍車がかかっている。



僕の推しアマテラスに、あんな物を付けるなんて……! 僕だって、まだ直接手を出していないのに!)



 子供のような直情的な怒りが湧いてくる。その一方で、冷静に『ボス』の記憶から読み取った知識から、あの銀色の輪についての正体を探る。

 該当する物があり、時間は一秒すらかからなかった。



 どうやら、あの銀色の輪は装着者の魔法の使用を制限する効果を持つらしい。恐らくアマテラスにあの枷を嵌めたのは、元『ボス』の魔法少女達だろう。

 記憶にあった彼女達の性格から、趣味が合いそうだと思っていた。しかし、今彼女達はアマテラスに僕の許可なく、アマテラスの行動を縛る枷を勝手に嵌めるとは。



 それに良く見てみれば、アマテラスの表情からは元気が感じられない。これまでの僕の経験から、今のアマテラスの精神状態はあまり良いものではない。

 少なくとも、現状が続けばいくら強力な魔法の力に覚醒していようと、心が限界を迎えてしまう。



 それをしているのが、自分であったら文句は何もない。もっとも、僕はアマテラスを追い詰めたとしても、最後の一線を越える――壊すつもりは全くない。

 お気に入りの他の『改造人間』玩具達と一緒に、ずっと遊び続けたいと思っている。



 なのに、全くの赤の他人に一番のお気に入りアマテラスを汚されたような気がして、非常に腹ただしい。いや、むしろ殺意すら覚える。



 よし、計画を少し変更する。『改造人間』第六号の攻撃対象を、アマテラスから『魔法庁』の奥でふんぞり返っているだろう魔法少女達に変える。

 誰のモノに手を出したのかを、支配者気取りの愚か者どもに思い知らせてやらないとね。



 僕は心の中で、アマテラスと対峙している『改造人間』第六号に命令を下す。



(――『魔法庁』の本部のどこかにいるだろう、偉そうな魔法少女達を全員始末して)



 そいつらを捕獲して、『改造人間』にする気はなくなった。多分、顔を見るだけでその度に苛々してしまうだろうから。



 一応追加の戦力として、『ボス』達が調教していた魔物のを何体か投入することを決定。そろそろ在庫が尽きそうなので、一段落したら魔物の補充にでもするとしよう。





 私が見上げるのは、黒色に少し青が混じったような色のドレスを着た少女。服装からして魔法少女のようにも見えるが、辺りの光景がそれを否定している。



 間違いなく、その人物は『アクニンダン』からの刺客だろう。という所まで思考を巡らしていた所、少女の顔に見覚えがあることに気づく。



「……もしかして、貴女はダイヤモンド・ダストさんですか?」



 魔法少女ダイヤモンド・ダスト。アリサちゃんを『アクニンダン』の支配から解放したあの日を境に、行方不明となっていた本部勤め魔法少女。

 その実力は間違いなくトップレベルで、彼女の行方を探すのにそれなりの労力が割かれている。

 そのぐらいの情報しか、拘禁されていた私の耳に入ってこなかったのだが――。



 私の誰何に対して、襲撃者の少女――ダイヤモンド・ダストは首を縦に振ることで肯定の意を示した。

 つまり、それが意味することは、『アクニンダン』はアリサちゃんだけはなく、魔法少女にも肉体改造を施し、自らの組織の尖兵にするまでに堕ちたことを意味する。



 私の置かれている状況で他者に気を配る余裕はないけれど、私は詳しい事態を把握する為にダイヤモンド・ダストに問いを投げかけようとした。



 ――しかし、ダイヤモンド・ダストと私が言葉を交わす直前に、彼女の瞳から正気の色が消えてしまい、私を無視して攻撃を再開してしまった。

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