第3話
「そういや。授業行かなくていいのか?」
自己紹介が終えた後に別室で待機していたが、教師なら授業しないといけないと思うのだが……。いや、まぁ知識的な面で授業できるとは思ってないけど。
朝比奈さんは少し呆れながらも解説してくれる。
「彼らだって義務化で入学しましたが、一応高校生ですよ。午前中は普通の一般教養などの授業でダンジョンやスキルの使い方などの授業は午後からです」
あぁ~なるほど。
まぁ確かに。戦う術だけを教えて殺戮マシーンみたいにするわけにもいかないしな。
……ってことは午後まで暇ってことですか⁉
ちょっくら仮眠でも……いや、最愛の妹のまじめな授業姿を陰から眺めるというのもアリか。
「ナシですよ」
「……まだやってないじゃん」
「やろうとしてましたよね?」
俺は何も言い返せなかった。
なんだよ朝比奈さん。それなりに長い付き合いだけど、もしかして読心系のスキルでも持ってるのかな? 独身系のスキルなら持ってそうだけど。
「黒鉄さんが責任取ってくれます?」
「……スイマセン」
エェ。朝比奈さんは自分にもったいないくらいの美人さんですよ。ハハ。
俺には最愛の人(妹)がいるから無理なだけでね。いい人はいっぱいいますよ。
心の中で言い訳を述べながら、冷や汗を流す。
そんな様子を見て朝比奈さんはため息を一つ吐いて、横に置かれたバッグから電子タブレットを取り出す。
「まぁとりあえず。午前中は此処でこれに目を通しといてください」
「これは?」
聞き返しながら、タブレットを受け取る。
「担当する生徒たちの情報が入ってます。生徒の名前も知らないでしょう?」
あ。確かに。
妹のことばかり考えててあまり他の生徒のこと考えていなかったな……。
「まぁ黒鉄さんの魔眼を使えば、情報収集なんて簡単でしょうが」
やめて……。
俺が変なことを考えたからか仕返しされてしまった。
気を持ち直して、タブレットに電源を入れる。
タブレットには担当する『1-A生徒情報』というファイルが存在した。
ファイルを開き、目を通す。
魔法や剣術、槍術などの一般的なモノから昆虫操作や機械製造などの様々な能力を持つ生徒などもいた。
スクロールしていると、とある一人の生徒で指が止まる。
この子は……関わるとマズイかもな。
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