第15話 その後



 そして、参加者すべて(アンドレ含む)の戦いが始まり、予定通りに工程終了。

 大会はトラブルなく終わった。


 私?

 私はもちろん、最後まで気を抜かない。


 帰りもヒロインが攻略対象と出会わないように、監視させてもらったし。

 周囲にアンドレが近寄らないように、クリスに警戒してもらったし。


 そのせいでヒロインと仲良くなってしまったけど、だっ、大丈夫、よね?


 友達みたいなやり取りをしてしまった事がマローナにばれないように、口止めしておかなくちゃ。


 ともあれ。

 これで、マローナから課せらえたミッションコンプリートだ。


「ありがとうございます。フラウ様。私、こんな風にお友達と休みの日に行動したことなくって」


 本当に、これから大丈夫かしら?


 ヒロインからの好感度が上がってしまったし。

 愛称呼びされてしまった。


 やめて、そんな純粋な目で見つめないで。


 これからも私は自分のために、あなたの恋路を邪魔するわ。

 なのに、そんな風にこられると、邪魔しにくくなるじゃない。


 屋敷に帰った私は、その事を思い出しながらげっそり。


 こんなざまで、これからやっていけるのだろうか。


 いや、私には無理だ。


 耐えられない。


 なんで、この短期間で死にそうな思いを何度もしなくちゃならないの。

 一体私が何をしたっていうの。


 特にこれまで悪い事なんて、してこなかったのに。


 自室にある机で本日の出来事を日記に書きながら落ち込んでると、クリスが声をかけてきた。


「お嬢様、大丈夫です。どんなことがあっても私は、お嬢様のそばにいますから」

「クリス」


 いい言葉だ。


 彼はやっぱり優しい人間だと思う。


 でも、一瞬でわれに返った。


 私の悩みごとの一部は、彼にも原因があるのだけど。


「入出許可出してないわよね。貴方の主は誰?」

「おっ、お嬢様、です。ですがっ、これは、そのっ、おっ、お嬢様が心配でっ」

「クリス、ハウス」

「すいません」


 やっぱり彼は危ないストーカーだ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る