第14話「迷宮の謎を解け」

巨大な石球が通路を塞ぎ、その穴に何かをはめ込む仕掛けが待ち構えていた。俺たちは分担して周囲を調べることにした。ラウルとマルコは通路の奥を探索し、イザベラと俺は壁や床の模様に手がかりがないか確認している。


探索の手がかり


「この模様、ただの飾りではなさそうね」


イザベラが壁に刻まれた線を指でなぞりながら言う。その模様は複雑な曲線と直線で構成されており、よく見ると小さな溝が続いているようだった。


「溝がどこかに繋がっているのかもしれない。少し触ってみよう」


俺が溝の一部を押すと、軽い音を立てて壁が数センチだけ沈んだ。その瞬間、天井の奥から機械音が響き、部屋の隅にある小さな石板がゆっくりとせり出してきた。


「何か出てきたわね。あれが鍵かしら?」


イザベラが素早く近づき、石板を手に取る。それは手のひらサイズで、球状の石の穴にぴったりはまりそうな形状をしている。


「これをはめてみましょう」


「待って。まだ他にも鍵が必要かもしれない」


俺は石球の穴を再び観察した。確かに、穴は複数ある。今見つけた石板だけではすべてを埋めることはできそうにない。


さらなる探索


「ラウル、マルコ、そちらはどうだ?」


奥を探索していたラウルが声を張り上げて答える。


「こっちにも似たような石板が見つかった!でも、これを取ろうとすると床が揺れるんだ。罠かもしれない」


俺とイザベラは急いでラウルのところへ向かった。彼が指差す先には、壁に埋め込まれた石板が見える。その周囲には小さな穴があり、そこから矢が飛び出しそうな仕掛けになっているのが明らかだった。


「どうやって取ればいいのかしらね…?」


イザベラが石板に目を凝らしながら考え込む。


「試してみよう」


マルコが手を伸ばそうとしたが、俺は彼の肩を掴んで止めた。


「ちょっと待ってくれ。この仕掛け、たぶん力任せで動かすと罠が発動する。それより…この床の模様、さっきの壁と似てないか?」


床に目を向けると、確かに先ほどの壁と同じような溝が走っている。俺はしゃがみ込み、その溝を慎重に指でなぞった。


「この溝も、どこかに繋がっているはずだ」


仕掛けを解除する


溝をたどっていくと、壁際に小さなレバーが隠されているのを見つけた。レバーを慎重に引くと、壁から軽い音が響き、石板の周囲にあった矢の穴が閉じられた。


「よし、これで罠は解除されたはずだ」


「さすがね、亮君」


イザベラが感心したように微笑む中、マルコが石板を慎重に取り外した。これで二つ目の石板が揃った。


「残りは…一つか?」


「この先にまだ通路が続いている。きっとそこにあるはずだ」


ラウルが先導する形で、俺たちはさらに奥へと進んだ。


最後の石板を求めて


次の部屋に入ると、今度は床一面に円形の模様が描かれていた。その中央には最後の石板が鎮座しているが、その周囲には巨大な鉄球が吊るされている。罠の存在は明白だ。


「また厄介な仕掛けね」


イザベラが鋭い目で床を観察しながら呟く。マルコも苦笑しながら鉄球を見上げた。


「この鉄球が動き出したら厄介だ。触る前に仕掛けをどうにかしないとな」


床の模様をじっと見つめていると、その一部が他と微妙に違うことに気づいた。それは中心から放射状に伸びた線の一部で、よく見ると少しだけ色が薄い。


「この部分、何かのスイッチかもしれない。全員で分散して調べよう」


俺たちは床を注意深く調べ、最終的に三か所のスイッチを発見した。それを同時に押すと、鉄球が大きく揺れ、天井に引き上げられていった。


「これで安全に取れるはずだ」


ラウルが石板を手に取り、慎重に持ち上げる。その動きに全員が息を呑むが、罠は発動しなかった。


「よし、これで三つ揃ったな」


石球の解除


三つの石板を持ち帰り、巨大な石球の穴にはめ込む。最後の石板をはめた瞬間、重い音を立てて石球がゆっくりと回転し始めた。


「開いた!」


石球が通路を塞いでいた部分が開き、その先に迷宮の出口が見えた。


「全員、行くぞ!」


俺たちは全力で出口へ向かい、最後の通路を駆け抜けた。


試練の完了


出口を抜けた瞬間、広間に歓声が響く。他のグループよりも早く脱出した俺たちに、観客たちが惜しみない拍手を送っていた。


「全員で出口に到達したことで、第三の試練は成功です!」


執事の声が響き渡り、俺たちはようやく試練の達成感に浸ることができた。


次への期待


休憩エリアに戻ると、イザベラが軽く笑いながら口を開いた。


「あなた、なかなかやるじゃない。特にあの溝の仕掛け、よく見抜いたわね」


「偶然だよ。でも、全員が協力したおかげだ」


俺がそう返すと、ラウルとマルコも頷きながら笑みを浮かべた。


「本当に、いいチームだったな」



次回に続く

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