第3話 魔女の目論見
救世主がいなくなった後、世界の中央にあるとても凄い王宮では、混乱が起きていた。
それは、救世主の女性がいなくなってすぐ後の事だ。
「さがせ!何とでも探し出せ!」
「あんなに都合の酔い女を逃がすわけにはいかない!」
「俺の大切な(便利な)救世主が!」
「女を見つけた者には褒美を与えるぞ」
「女!女はどこだ!」
彼らは気が付かない。
自分が救世主の名前を読んでいない事に。
一人の人間として認めていないことに。
それを見た兵士たちは走り回りながらもため息を吐く。
「王宮の空気が一気に荒れたな。救世主様はどこに行ってしまったのだろうか」
「お前が馴れ馴れしく接し過ぎたから、うっとおしかったんじゃないのか?」
「そんな馬鹿な。だって、気安く接してくださいねって言ったのは無効だぞ」
「それに普通な雰囲気があったから、つい親しみを感じてしまうんだよね」
小さな部屋の一室。
そこには哀れな女が眠っていた。
適度に平民が使いそうなボロ布で作られたベットの上で。
安心した顔で眠りについた女を見て、老女の姿をとっているわらわは嗤う。
「くっくっく。馬鹿な聖女め。このまま疑心を植え付けて魔女に堕としてやるわ」
わらわはこの時をずっと待っていた。
人類の敵である魔女。
魔は、邪悪な魔力を使って、色々な事ができるようになる。
生物を狂暴化させたり、人を狂わせたり。
幻を見せたり、精神を不安定にさせることも。
このままこの女に甘い声で囁き続け。
都合の酔い言葉で洗脳してしまおう。
救世主が魔女化すれば、浄化の力を扱えるものはいなくなる。
この世界を手におさめるのも、簡単だった。
わらわは聖女を見下ろしながら、嗤いつづけた。
「くっくっく、はーっはっは!」
それで「うーん」と寝返りをうった女をみて、ちょっと声のボリュームを下げながら。
「なんと愚かな女だこと。この様子ならこの世界が滅びるのも時間の問題じゃな!」
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