普通な私が異世界召喚されたらモテモテに。でもそこには裏があった?
仲仁へび(旧:離久)
第1話 救世主召喚
魔法陣の前に集まった数人の男女が、深刻な表情で話し合う。
彼らは世界中から集めた、えりすぐりの魔法使い。
エリートの中のエリートだった。
難関と呼ばれる試練を突破し、この世でもっとも強いと呼ばれたドラゴンを、単独で倒すほどの力の持ち主。
「このままでは世界が滅んでしまう。だから、異世界から救世主様を召喚しなければ」
「しかし、どうする?魔法陣での召喚はランダム性が強い。男が召喚されたら目も当てられないぞ」
「召喚されたものに罪はないが、今このタイミングで男はなあ」
「女だ!ナイスバディな女がどうしても必要だ。念じて魔法を発動させればかならず召喚される」
「そんなんで願いが叶うのは、お前だけだ。なんでそれで、魔法が正しく発動するんだ。普通は失敗するもんだぞ」
たまに脱線したり、頭をはたいたりしながら彼らの会話は進んでいく。
あれこれ話し合った彼らは、ため息を吐きながら、結論を出した。
「仕方ない、こうして悩んでいても世界が滅んでしまうだけだ。召喚の儀式を始めるとしよう」
「異議なし!」
「分かった」
「了解だ」
「そうだな」
リーダー格の魔法使いがそう発言した後、他の魔法使いたちは、魔力を高める。
そして、魔法陣に魔力を込め始めた。
「神様、どうかこの滅びに瀕した世界に女性の救世主を」
「もうほんとヤバいのでお願いします」
「神様、邪神様、精霊様!」
「女、来い!」
「お前はほんと頭が単純で良いな。なんで魔法使いになれたんだろう」
数秒後、魔法陣は強く光り輝き。
周辺を白く塗りつぶす。
やがて光がおさまると、そこに一人の女性が経っていた。
タオル一枚持ったままの、素っ裸の状態で。
「は? はあああああ? なにこれ!」
白目をむいた救世主は自分の正気を疑ったのか、そのまま後ろにばったんと倒れてしまった。
「大変だ! 聖女様が倒れたぞ!」
「女性の救世主だ!傷をつけてはならん」
「丁寧に運ぶんだ」
「しっかり治療しろ!」
「女が来たぞ! 俺のおかげだ!」
会社から帰った後、バスルームで息抜きしながら音楽を聴いていた私は、謎の白い光に包まれて、見知らぬ場所に転移していました。
これ、何かの異世界ファンタジーのはじまりですか?
夢かと思ったけど、起きたら現実だった。
「なんか見たことのない光る石が天井にはまってる」
体を起こすと、イケメン騎士やら魔法使いやら、イケメン医者やらがわんさか私の元へ集まってきた。
頬をつねった。
けど、痛かった。
どうも、何の変哲もない私です。
名前も特に目立つところがない普通な私です。
今日は、こんな普通な私の身に起こった出来事を説明していきます。
あっ、お茶どうも。
では、よろしくお願いします。
それでは話をはじめましょうか。
あっ、お茶菓子もあるんですか。
ありがとうございます。
パリパリ。
えびせんみたいな味のするせんべいですね。
こんな世界にもせんべいがあるんですか。
ん?
昔は私の世界からたくさんの人間が召喚されたから、その影響?
もちとか、ちゅうにとか、すまほ、とか色々なものがこの世界にもたらされたらしい。
あと、もえとかも。
それ、日本人じゃないんですか?
おっと、話が脱線してしまいましたね。
すみません。
では、本題に戻りますね。
私達が住んでいる世界とは別の、こちらの世界。
その世界の中央では、世界の破滅に抗うために、聖女召喚という儀式が行われました。
もう驚きましたよ。
目が覚めて説明され、現実を把握した時のあの感覚といったら。
どうせ召喚されるなら、もっとマシな世界がよかったです。
それで、この世界では、邪悪な魔力が生物を狂わせているので、聖女の浄化の力が必要みたいですね。
男しかいなくて、女性が生まれなくなって、種の存続ができなくなったとか。
なら、もう話の流れは、お分かりですね。
聡明なあなたなら、理解できるはず。
でもとりあえず、自分で状況を整理するために話を続けますよっと。
その儀式で、召喚されたのが私です。
救世主だとか言われました。
一応私には聖女の力がありましたが、使う機会がありませんでした。
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