飲み会にて

沼津平成

プロローグ 飲み屋「古典軒」

 地下にひっそりと佇むその飲み屋は、午後六時をまわると、看板を照らす光が、いっそう明るくなる。午後二時に灯りがついて、午後四時に灯りが少し増える。しかし、そのことを知っているのは常連客だけだ。彼らはさりげなく地下道を通りながら、「ああ、今は四時なんだな」と、ふっとそう思うわけだ。


 話がそれた。その飲み屋は、午後六時をまわって、一層賑やかになる。午後二時まで、店は喫茶店の顔を見せる。そして、午後五時ごろ、喫茶店は閉店する。


 営業時間からもわかるように、この喫茶店は本業ではない。本業は飲み屋だ。


 地下道がほんのり暗くなると、打って変わって飲み屋は明るくなる。地下道が夜になり寒くなってくると、飲み屋の空気は生ぬるくなる。


 そう、この飲み屋は常連から愛されていた。その飲み屋の名前は「古典軒」だ。

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飲み会にて 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel

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