第6話 霧の中で

 ヤバい、ユウナとチハルがいない。もしかして私、迷子になっちゃったの……。


「うわぁ~ん。私、迷子になっちゃったよ~」


 もう13歳なのにガチ泣きしてしまった。どうしよ、この霧の中で再会するの無理じゃない?


 うわぁ、最悪。このタイミングで目の前に少し大きいスライムがいるんだけど……。近づいてきたらどうしよ、と思っていたら近づいてきた。


「ウインドバインド……」


 とりあえず縛るとこに成功した。じゃあ次は攻撃しなきゃ。


「ウォーターガン!」


 水でスライムが弾け飛ぶが、すぐに体勢を立て直してきた。スライムが、私の方に飛んでくる。


「守んなきゃね、ウォーターウォール」


 水で防ぐ。私って何となく、サポート向きな人だから、一人で戦うの大変なんだよね。


***


「ねえ、ユウナ。そういえば雷属性の魔法ってどんななの?」


 チハルに聞かれる。そういえば雷属性の魔法、名前だけ覚えて使ってないな。やってみるか。


「ライトニング!」


 うわ!なんか稲妻が出て光って、ちょっとピリッて静電気がきた。あ、これで照らした瞬間だけ、結構周り見えるじゃん。


 何回もライトニングを使う。あ、あそこにヴェレと……スライム!?倒さなきゃ!


「ファイアーボール!」


 遠くから飛ばす火の玉がスライムを吹き飛ばす。ヴェレのところまで来れた。


「ヴェレ、助けに来たよ!」


 スライムが起き上がった。このスライム耐久力高いな。


「ブラッドバインド!」


 チハルがスライムを縛る。スライムの太った身体が強く縛られる。


「ねえヴェレ、私が火撃つから風で飛ばして」


 火を風で強くするという作戦だ。ヴェレが頷く。


「フレイムウインド!!」


 私とヴェレが同時に叫ぶ。火の玉が風に乗って、勢いが増して飛んでいく。スライムが倒れて消えていった。


「やった!倒せた!」


 ヴェレが喜んでいる。たぶん長い間、戦ってたんだろうな。


「ねえ……ユウナ、さっきの技……」


 ん?なんかチハルの様子がおかしいな。


「なんでヴェレと一緒に撃ったの?私以外の人とするなら……」


 またチハルがキレだした。止めるためにチハルを強く抱き締める。


「うへへ……最初からそうしてくれたらいいのに……」


 チハルが私に頬を擦り付けてくる。なんかだんだんチハルが可愛く見えてきた。ペットみたい……。


 さて、そろそろ村に着くかな?


「やっと村に着いたね!」


 ヴェレが言う。本当だ!目の前には村がある。でも人が住んでなさそうな……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る