第2話 最初の仲間 - 謎のエルフ少女

冒険ギルドで出会った数多くの女性プレイヤーに囲まれながら、俺は何とか自己紹介を終えた。しかし、まだ頭の中は混乱している。見た目が完全に女性キャラで、しかもこのフィールドにいるのは俺以外全員女性という状況。どうやら「女性専用フィールド」に入り込んでしまったのは間違いないようだ。


それにしても、こうして美女たちに囲まれる状況は、ゲームとはいえ悪くない。もしかすると、女性キャラとして接されることで普段では味わえない経験ができるかもしれない……などと、少しばかり期待を抱いている自分がいる。


「それで、これからどうするの?」


隣に立つエルフの少女、リーナが俺に問いかける。彼女は俺をここまで案内し、初めての戦闘でも助けてくれた頼りがいのある仲間だ。ふわふわとしたピンク色の髪が風に揺れて、エルフ特有の尖った耳がちらりと見える。その顔立ちは美しく、誰もが見惚れるほどの美貌を持っている。


「まずは、もう少しこの世界の仕組みを知りたいかな」


俺がそう言うと、リーナは小さく頷き、手を差し出してきた。


「それなら、私がまた案内してあげる。フィールドの南には初心者向けのモンスターが多い場所があるから、少しずつ戦闘にも慣れていきましょう」


「助かるよ。ありがとう、リーナ」


彼女の手を取ると、リーナは微笑み、再び俺を引っ張って冒険ギルドの外へと出ていった。彼女の手は驚くほど柔らかく、リアルの感覚と変わらない。最新のVR技術の凄さを改めて感じつつ、俺は彼女と共にフィールドの奥へと向かっていった。


フィールドの南に位置する「グリーンメドウ」。そこは美しい草原が広がり、小さなモンスターが散らばっている。戦闘の練習をするにはちょうどいい場所のようだ。


「このあたりには『グリーンスライム』という弱いモンスターがいるんです。まずはあれを倒して、戦闘の感覚を掴んでみましょう」


リーナが指さした先に、半透明な緑色のスライムがゆっくりと這っていた。見た目はかわいらしいが、触れると粘つくような感触がしそうだ。


「よし、やってみる!」


俺は武器を構え、ゆっくりとスライムに近づく。そして一気に振り下ろすと、スライムは小さく跳ねて反撃しようとするが、リーナがその前にすかさずサポートしてくれる。


「ナイス、リーナ!」


「うん、でもあなたもなかなかやるじゃない」


お互いに微笑み合いながら、俺たちは何度かスライムを倒し、戦闘の感覚を掴んでいった。リーナは戦闘中も優れた指示をくれ、俺がどのタイミングで攻撃すればいいかを教えてくれる。次第に俺も自信を持って動けるようになり、初めての協力プレイの楽しさを感じ始めた。


そんな時、リーナがふと立ち止まり、こちらを見つめてきた。


「そういえば、あなたはどこから来たの? 私、あなたの名前しか聞いていなかったかも」


「えっと、そうだな……」


答えに困ったが、ゲーム内での設定をうまく誤魔化しながら話を進めることにした。リアルなことを話すのは避けたいが、ここはキャラクターとしての背景を考えつつ話すしかない。


「この世界に来る前のことは、あまり覚えていなくて……ただ、冒険をしたいって気持ちだけが強く残っていたんだ」


俺の話を聞いて、リーナは小さく頷き、やさしく微笑んでくれた。


「わかるわ。私もこの世界で、自分がどこから来たのかほとんど覚えていないの。でも、冒険したいって気持ちだけははっきりあるのよ」


俺と彼女は少しの間無言で見つめ合った。そんな彼女の純粋な気持ちを感じて、俺も心が少し温かくなるのを感じた。


その後も俺たちは共に冒険を続け、グリーンメドウの端にある小さな村に到着した。村には冒険者たちの休憩所や商店が並び、ゆったりとした雰囲気が漂っている。


「ここで少し休憩しましょうか?」


リーナが提案してくれたので、俺も彼女に続いて近くのベンチに腰を下ろした。VRゲームとはいえ、長時間の冒険で少し体も疲れているような気がする。


「こうして座っていると、本当にこの世界に生きているみたいだな」


俺がぼんやりとそう呟くと、リーナが隣で微笑んだ。


「そうですね。あなたが初めて来た時、驚いていた顔が忘れられないわ。こうして一緒に冒険できて嬉しい」


リーナはそう言いながら、俺の肩にそっと寄りかかってきた。彼女の温もりが伝わり、心臓が少し高鳴る。ゲームの中とはいえ、この距離感にはドキドキせざるを得ない。


「リーナ、あの……」


戸惑う俺に、彼女は無邪気な笑顔を見せ、さっと肩から離れた。


「ごめんなさい、ちょっと近すぎたかしら?でも、あなたといると安心できるのよ」


彼女の言葉に、俺は思わず顔が熱くなるのを感じた。リーナが俺を頼ってくれていることが嬉しいと同時に、やはりこの秘密がいつかバレるんじゃないかという不安もよぎる。


「そんなことないよ。俺もリーナといると安心するし、楽しい」


なんとか冷静を装いながら答えると、彼女は嬉しそうに微笑んだ。俺たちはしばらく無言で景色を眺めながら、穏やかな時間を過ごした。


しかし、その平穏は突然破られた。


「助けて……!誰か助けて!」


村の奥から叫び声が聞こえた。振り向くと、女性が狼のような獣に追われて逃げているのが見える。彼女は必死に走っているが、獣の速さに追いつかれそうだ。


「リーナ、行こう!」


俺は立ち上がり、リーナと共に獣へ向かって走り出した。村の人々も騒ぎに気付き、恐怖に怯えながら遠くから見守っている。武器を構え、獣に向かって突進する。


「あなた、後ろから回り込んで!」


リーナの指示に従い、俺は獣の背後へ回り込み、強力な一撃を繰り出す。獣は一瞬ひるみ、その隙にリーナが素早く剣を振り下ろした。見事な連携で、獣は地面に倒れた。


「大丈夫ですか?」


リーナが女性に声をかけると、彼女は感謝の表情で何度も頭を下げた。


「ありがとうございます……!お二人がいなかったら、どうなっていたか……」


俺は安堵しつつも、隣で微笑むリーナの姿を見て、胸が温かくなるのを感じた。彼女と一緒にいることで、俺はどんどんこの世界に引き込まれていく。


この日を境に、リーナと俺はさらに強い絆で結ばれるようになった。彼女の優しさと強さに触れるたびに、俺はますます彼女と冒険を共にしたいと思うようになっていく。しかし、この「女性専用フィールド」で冒険するという秘密もあり、俺の心にはいつも小さな不安が残っている。


「リーナ、これからもよろしく頼むよ」


「ええ、私も。あなたとなら、どんな冒険も乗り越えられる気がするわ」


俺たちはお互いに微笑み合い、新たな冒険に向けて歩み出す。仲間として、そして少しずつ芽生える何か特別な感情を感じながら──。


次回、さらに多くの女性仲間が加わり、俺のハーレム(?)冒険譚が加速する。

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