着るだけなんですか?
「お気の毒ですが、あなたの生命の
死神、と名乗った黒いのは、そう告げた。
「わたし、死んだってこと?」
「左様でございます」
ミミカは、ぷかぷかと浮遊している自分の体をみて驚いた。足がない。膝から下が透けて、見えなくなっていた。
「まじかー……。それで、わたしを迎えに来たのが死神ってこと? 天使とかじゃないの?」
「少し違います。わたくし、死神となりゆる人を探しておりまして。ちょうど、あなたのような方を捜しておりました。躊躇なく、刃を振れる人間を」
死神はそういうと、どこからともなく巨大な鎌を取り出した。まるで異次元から現れたそれは、手入れが行き届いているのか、刃が淡く光ってすら見える。切れ味がよさそうだった。
「昨今、死者数は右肩上がりでして……死神業も残業過多なんです」
「は、はぁ……」
そもそも死神って仕事なの? とミミカは疑問に思ったが適当に頷く。
「そこで、あなたに問います。このまま死んで冥途送りになるか、死神となって魂を刈るか、どちらかお好きなほうをお選び下さい」
「ちょっと待って、冥途って……わたし天国とかにいけるんじゃないの?」
「残念ながら、自ら命を絶つ人間は全て冥途送りと定められています。輪廻転生の輪からは、外されますので」
「それじゃ、もう一択だよ。冥途送りなんて御免だし、死神になるよ」
「おお、迅速なご決断に感謝致します!」
そういうと死神はまたも何もない空間から黒いローブのようなものを取り出す。
「早速ですが、こちらを着てください。早くしないと、あなたの魂が散ってしまいます」
「散るって?」
「今のあなたは
ミミカは慌ててローブを纏う。
「とってもお似合いです! これであなたも死神の仲間入りです」
服屋の店員におだてられているみたいだなぁ、とミミカは思った。
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