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SAOにおいて、システム上で規定されるプレイヤー同士の関係は四種類存在する。
まず一つは無関係の他人。二つ目がフレンドだ。フレンドリストに登録した者同士なら、どこにいようと簡単な文章のメッセージを送ることができるし、相手の現在位置をマップ上でサーチすることも可能となる。
三つ目はギルドメンバー。上記の機能に加えて、
さて、俺とアスナは今までフレンドとギルドメンバーという二つの条件を共有していた訳だが、二人ともギルドからは一時脱退し、かわりに最後の一つが加わることになった。
結婚──と言っても手続きは拍子抜けするほど簡単だ。どちらかがプロポーズメッセージを送り、相手が
SAOにおける結婚が意味するものは、簡潔に言えば全情報と全アイテムの共有だ。お互いは自由に相手のステータス画面を見ることができるし、アイテム画面に至っては一つに統合されてしまう。言わば最大の生命線を相手に差し出す行為であり、裏切りや
第二十二層は、アインクラッドで最も人口の少ないフロアの一つだ。低層であるがゆえに面積は広いが、その大部分は常緑樹の森林と無数に点在する湖に占められており、主街区もごく小さな村と言ってよい規模だ。フィールドにモンスターは出現せず、迷宮区の難度も低かったためわずか三日で攻略されてしまい、プレイヤーの
エギルは残念そうな顔で好きなだけ二階を使っていいんだぜ、と言ってくれたが、雑貨屋に
「うわー、いい眺めだねえ!」
寝室、と言っても二部屋しかないのだが、その南側の窓を大きく開け放ってアスナは身を乗り出した。
確かに絶景だ。外周部が間近にあるため、
「いい眺めだからってあんまり外周に近づいて落っこちるなよ」
俺は家財道具アイテムを整理する手を休め、背後からアスナの体に両腕をまわした。この女性は今や俺の妻なのだ──そう思うと、冬の陽だまりのような温かさと同時に不思議な
この世界に
もし──もしこのゲームがクリアされ、元の世界に帰ることになったら……。それは俺やアスナを含む全プレイヤーの希望であるはずなのだが、その時のことを考えると正直不安になる。俺は知らず知らずアスナを抱く腕に強く力を込めていた。
「痛いよキリト君……。どうしたの……?」
「ご……ごめん……。なあ、アスナ……」
「……
「怒るよ、キリト君」
振り向いたアスナは、純粋な感情が燃える
「たとえこれが、こんな異常事態じゃない普通のゲームだとしても、わたしは遊びで人を好きになったりしない」
両手で俺の
「わたし、ここで一つだけ覚えたことがある。
アスナのまっすぐな強さに感嘆するのは何度目だろう。それとも俺が弱くなっているのか。
だが、それでもいい。
俺は思考が拡散していくに任せ、ただ腕の中の甘い香りと柔らかさだけに意識を集中させた。
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