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ギルド血盟
その頃から、《伝説の男》ことギルドリーダーはもちろん、サブリーダーのアスナもトップ剣士として名を知られ、《
現在地は、七十四層迷宮区の最上部近く、左右に円柱の立ち並んだ長い回廊の中間地点。
おりしも戦闘の真っ最中、敵は《デモニッシュ・サーバント》の名を持つ
「ふるるるぐるるるるう!」
異様な
たとえ二対一の状況とはいえ、武器を装備した相手だとこちらが二人同時に打ちかかれる訳ではない。システム的には不可能ではないが、目にも留まらぬ高速で刃が飛び交う間合いに味方が近接していると、お互いの技を
白銀にきらめく細剣を中段に次々と突き入れる。見事に全弾ヒットし、
中段の突きを三連続させたあと、ガードが上がり気味になった敵の下半身に、一転して切り払い攻撃を往復。次いで斜めに跳ね上がった剣先が、純白のエフェクト光を
なんと八連続攻撃だ。確か《スター・スプラッシュ》という名のハイレベル剣技である。もともと細剣と相性が悪い骸骨系のモンスターを相手に、その切っ先を的確にヒットさせていく技量は尋常ではない。
骸骨のHPバーを三割削り取った威力もさることながら、使用者を含めたそのあまりの
放心した俺に、まるで背中に目がついているかのようなアスナの声が飛んだ。
「キリト君、スイッチ行くよ!!」
「お、おう!」
慌てて剣を構えなおす。同時に、アスナは単発の強烈な突き技を放った。
その剣先は、骸骨の左手の金属盾に
無論大技をガードされたアスナも硬直を
俺は間髪入れず突進系の技で敵の正面に飛び込んだ。わざと戦闘中にブレイク・ポイントを作り出し、仲間と交代するのが《スイッチ》である。
アスナが充分な
俺が
昨日
敵の
上段の剣を受け止めるべく盾を上げる敵の思惑を外して、俺は左肩口から体当たりを敢行。姿勢をぐらつかせた
ここまでの攻撃で、敵のHPバーは大きく減少して
「やった!!」
剣を収めた俺の背中を、アスナがばしんと
戦利品の分配は後回しにして、俺とアスナは先に進むことにした。
ここまで四回モンスターと
俺たちは円柱の立ち並ぶ
下部では赤茶けた砂岩でできていた迷宮だが、登るにつれいつのまにか素材が
回廊の突き当たりには、灰青色の巨大な二枚扉が待ち受けていた。扉にも、円柱と同じような怪物のレリーフがびっしりと施してある。
「……これって、やっぱり……」
「多分そうだろうな……ボスの部屋だ」
アスナがぎゅっと俺のコートの
「どうする……?
強気なその
「……ボスモンスターはその守護する部屋からは絶対に出ない。ドアを開けるだけなら多分……だ、
自信無さそうに消える語尾に、アスナがとほほという表情で応じる。
「一応転移アイテム用意しといてくれ」
「うん」
「いいな……開けるぞ……」
右腕をアスナに引っ張られたまま、俺は結晶を握りこんだ左手を
ゆっくりと力を込めると、俺の身長の倍はある巨大な扉は思いがけず
──と言っても内部は完全な
「…………」
俺が口を開こうとした
すぐに、少し離れた場所にまた二つ炎が
ボボボボボ……という連続音と共に、たちまち入り口から部屋の中央に向かってまっすぐに炎の道ができ上がる。最後に
アスナが
見上げるようなその
頭の両側からは、ねじれた太い角が後方にそそり立つ。眼は、これも青白く燃えているかのような
入り口から、
おそるおそる視線を
そこまで読み取った時、突然青い悪魔が長く伸びた
「うわあああああ!」
「きゃあああああ!」
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