第12話 今後の動き
ヴィオラの家に戻ったノアディル、リア、そしてヴィオラの三人は、旅の続きについて話し合っていた。
だが、すぐにでも出発したいという焦りとは裏腹に、現実的な問題が彼らの前に立ちはだかっていた。
「俺とリアは魔法が使えない。武器での攻撃になるがバッテリー問題が必ず出てくる……」
「そうだね……」
リアはそう言いながら自分の装備を確認していた。
「ボクは武器を装備していないし、作るにしてもナノマシンが足りないよ。作業台にもバッテリーが多く必要だね」
「自己増殖の速度ではまったく追いつかない……か」
ノアディルは考え込んだ表情を浮かべる。
その横でリアは、思い切ったように目を輝かせながら提案する。
「サイバーシティでできなかった研究を、ここで試してみよう! 死んじゃうからあそこでできなかったこと、今ならできるかも!」
「それって……ナノマシン自体の解析か?」
リアは大きく頷いた。
「そう! サイバーシティではナノマシン自体を解析することは禁じられていた。でもここならできるよきっと!」
その言葉にヴィオラは興味深そうにしている。
「こっそり解析とかも出来なかったの?」
リアはサイバーシティの規律を思い出しながら答えた。
「絶対に出来ない……。サイバーシティではナノマシンの解析や研究を一瞬でも行おうとするとすぐにアラートが鳴るの」
その言葉にノアディルは付け加えるように言った。
「アラートが鳴ったら10分以内にセキュリティが飛んできて拘束もしくはその場で処刑だ。ナノマシンの解析はサイバーシティでは最も重い罪の一つだ」
「恐ろしいわね……!」
「だけどここなら監視の目は無い。解析できるはずだ」
ノアディルとリアは顔を見合わせ頷いた。
「ヴィオラ! この辺一帯使わせてもらうね!」
リアはそう言って早速解析の準備に取り掛かった。
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数時間の準備を経て、リアは簡易的なラボを作り上げた。
鉄板でできた壁と天井、そして少しだけ上がった床が、彼女の技術力を示している。
扉はなく、サイコロでいうと2面が開放された状態の空間。
壁沿いには研究台や解析装置が並べられ、まるで即席の科学実験室のようだった。
「緊張する……」
ノアディルとリアは小さく息を吐いた。
「でも、これが成功すれば武器も装備を作り放題になるかも!」
リアは慎重に、厳重な蓋がついた試験管を持ち上げた。
その中には、銀色に輝くナノマシンが静かに動いている。
彼女はそれを解析装置にセットし、装置を起動しようとしたその瞬間だった。
「警告! 違法行為が検知されました。セキュリティが10分以内に到達します」
突然、T-0が鋭いアラートを発し始めた。
「アラート! ここで!?」
「なんだって……?!」
リアとノアディルは慌てて周囲を見渡した。
「サイバーシティのセキュリティがここまでくる……? ありえないだろ……!」
ノアディルの頭に色々な考えがよぎる。
覚悟を決めてブレードを出し構えたが……
「セキュリティ……信号をロスト。消失しました」
T-0のその言葉に二人は肩の力を抜き安堵の息をついた。
「よかった……来るわけないよな。ここは異世界なのに……」
「本当に焦ったね……」
念の為、そのまま数十分待機をしたが、結局セキュリティはノアディルたちの元へ来ることは無かった。
「……大丈夫そうだし、このまま解析を続けるね!」
リアはそう言って再び解析装置に向かい、ナノマシンを調べ始めた。
その後もアラートは鳴るが、すぐにロストが何度か続いていたが、
そして、しばらくすればそれも鳴らなくなっていた。
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