第4話 合流
ノアディルはリアを抱きしめ、よかったと安堵した。
リアは、
「えへへ、恥ずかしいよ」
と照れながらもノアディルの抱擁に応えてしっかりと抱き返していた。
ヴィオラはそんな二人の様子を見て、
「喜ぶのはいいけど、早くこれを破壊しないと。また魔物が来るわよ」
と注意を促した。
リアはヴィオラが何を言っているのか分からず、ノアディルが通訳して、通信アンテナを止めるようにと伝えた。
「デバシーの通信を改善しようとアンテナを立てたけど、ノアディルが見つかったからもう不要だね」
リアはそう言いながらアンテナの電源を落とした。
その瞬間、周囲の魔素は再び安定を取り戻していた。
ヴィオラは驚きながらもアンテナにそっと触れ、興味深そうに眺めている。
その間に、ノアディルはリアのデバシーに自身の収集した情報を共有し、リアも義眼を通して言語を習得した。
「これでボクもヴィオラさんの声が分かるね!」
とリアは嬉しそうに言い、ノアディルもそれに笑顔で応えた。
そして、アンテナを分解してリアのデバシーに収納した後、三人はヴィオラの家に戻ることにした。
・・・
ヴィオラは家の前の開けた場所に手をかざすと、地面から石でできたテーブルとイスが出現した。
リアはすごい、どうやったの? と目を輝かせて質問する、
ヴィオラは
「土属性の魔法よ」
と微笑んで答えた。
その答えにリアは、
「魔法だって、ノアディル! 作り話でしか見た事無いよ!」
と興奮を隠せない様子だった。
ヴィオラも興味津々に、
「それを言ったら、ノアディルの魔法もすごかったわ。見たことないもの」
と言い、ノアディルに興味を示す。
「お互いに気になることがたくさんあるけど、もう辺りが暗くなっている。明日にしないか?」
ノアディルはそう言って周囲を見ながら提案した。
二人は少し不満そうな表情だったが、それに同意した。
「家の中は狭いから、悪いけどここで寝て頂戴」
そういってヴィオラは岩で簡易的なテントを作り出した。
そして、なにか毛布とかあったかしらと家に戻ろうとするヴィオラにリアは、
「それは持ってきたよ!」
とデバシーから毛布を取り出して見せた。
ヴィオラはそのデバシーについてもっと聞きたそうだったが、ノアディルは
「明日な」
とやんわり抑えた。
そしてヴィオラは家、ノアディルとリアは同じ岩のテント内で静かに眠りについた。
・・・
・・
・
翌朝、ノアディルが目を覚ますと、すでにリアとヴィオラは起きており、外の石のテーブルで楽しそうに談笑していた。
ノアディルがテントから顔を出すと、ヴィオラが彼に気づいてにっこりと微笑み、
「すごいわね、あなたたちの技術!」
と興奮気味に絶賛する。
リアも嬉しそうに
「魔法もすごいよ! ボクのメカではできないことばかり!」
ヴィオラを褒め返す。
ノアディルはその光景を見ながら、どうやら質疑応答の時間はすでに終わったらしいと、少し安堵した。
ヴィオラはふと真剣な顔になり、
「ところで、あなたたちはどの国から来たの?」
と質問する。
「サイバーシティから来た」
とノアディルが答えると、ヴィオラは首を傾げ、
「サイバーシティ? 聞いたことがないわ。そしてどうやってここに来たの?」
と更に問いかけた。
「白い穴が黒い穴に変わって、そこから吸い込まれたらここにいたんだ!」
とリアが説明するがヴィオラは困惑した表情を浮かべ、
「ノアディル、通訳して」
と求めたが、
「残念ながら大体その通りなんだ」
とノアディルは苦笑いをしながら言った。
「元の場所に戻りたいんだけど、正直見当もつかない……」
ノアディルは深いため息をついた。
「ボク、あの現象は魔法だと思う!」
「吸い込むような魔法はあるけどそれが別の場所に繋がってるなんて……」
そしてヴィオラは思いついたように、
「大賢者様なら分かるかもしれない……」
と呟いた。
ヴィオラの言葉にノアディルは食いつき、どこに居るかを聞いた。
「あっちに大きな山が見えるでしょう? あのてっぺんに立っている塔に大賢者様がいるわ」
と山を指差しながら言った。
だが、その山には凶悪な魔物が住んでいて、近寄ることが難しいらしい。
「他に手がかりはない。行くしかないな」
「賛成!」
ノアディルの問いにリアはのりのりで応じた。
ヴィオラはその二人に少し困惑するも、
「なら私も行くわ!」
と大きな声で言った。
「危険なんだろう? 俺達だけで大丈夫だ」
とノアディルが断ろうとしたが、
「私も大賢者様に聞きたいことがあるの。一人じゃいけないしこれはチャンスだわ」
と言った為、3人は一緒に行くことにした。
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