第2話新たな仲間!魔法使いリリスとの出会い
天宮レンは、カイルとの初めての冒険を経て、少しだけ自分に自信を持ち始めていた。「サポート強化」という地味なスキルでも、仲間を支える力になれると知ったことで、彼の心には新たな冒険に対する希望が芽生えていた。
依頼を終えた翌日、レンはギルドに顔を出していた。冒険者としての経験を積むため、次の依頼を探そうと意気込んでいたのだ。しかし、彼が掲示板の前で目を凝らしていると、横から小柄な少女がぬっと顔を覗かせた。
「なに?あなたも依頼を探しているの?」
突然の声に驚き、レンは顔を上げた。そこに立っていたのは、銀色の髪が肩まで伸びた美しい少女だった。彼女の瞳は深い紫色で、鋭い視線がレンを射抜いている。
「え、あ、うん……そうだね」
少し緊張して答えると、少女は興味深そうにレンを見つめた。
「あなた、サポート系のスキルを持っているって聞いたわ」
「え? ああ……確かに、サポート強化というスキルを持ってるんだけど……どうして知ってるの?」
「噂よ。ギルドの新人がサポートスキルだけでゴブリン討伐に成功したってね。興味が湧いたわ、あなたみたいな地味な冒険者がどれだけ役に立つのか」
少女は笑みを浮かべ、冷ややかながらも興味深そうにレンを見つめていた。その様子に少しイラッとしながらも、レンは言い返す。
「地味だなんて、俺だって……って、いや、地味なのは否定できないけどさ!」
少女はくすくすと笑いながらも、何かを決意したような目でレンを見つめた。
「私はリリス。魔法使いよ。もしよかったら、私と一緒に次の依頼に挑んでみない?」
突然の誘いにレンは驚いたが、彼女の誘いを断る理由はなかった。むしろ、魔法使いと一緒に行動するのはサポーターとしては理想的だった。
「わかった、よろしくリリス!」
こうして、レンは新たな仲間であるリリスと共に次の冒険へと出発することになった。
森の中での試練
次の依頼は「遺跡に住み着いた魔物の討伐」だった。ギルドで受けた説明によれば、その遺跡には小型の魔物が多数住み着いており、村人たちが近づけない状態になっているという。
リリスと共に森を進みながら、レンは彼女の実力を試すべく話しかけた。
「リリス、君はどんな魔法が使えるんだ?」
リリスはにやりと笑みを浮かべると、小さな火の玉を指先に浮かべてみせた。
「基本は火と風の魔法よ。でも、使える魔法は多種多様だから、あまり心配しなくていいわ」
その自信満々な態度に、レンは少し圧倒されながらも、安心感を覚えた。頼れる仲間がいるというのは心強い。
やがて二人は遺跡の入り口にたどり着いた。石造りの古い建物が静かに佇み、そこからは薄暗い闇が覗いている。
「行くわよ、レン。あんまりのんびりしてると置いていくからね」
リリスはそう言うと、さっさと遺跡の中へと進み始めた。レンも慌てて彼女の後を追う。
遺跡の中の戦闘
遺跡の内部は狭く、暗く湿った空気が漂っていた。レンは剣を構え、リリスの背後からサポートの準備を整えた。すると、奥から一匹のコボルトが現れ、鋭い牙をむき出しにしてこちらに向かってきた。
「来たか……!リリス、俺が援護する!」
「大丈夫よ、任せて」
リリスは冷静に指を鳴らすと、瞬時に火球を生成し、コボルトに向けて放った。火球はまっすぐにコボルトに命中し、相手は悲鳴を上げてその場に倒れ込んだ。
「す、すごい……」
「ふん、こんなの簡単よ。でも、あなたのサポートも少し感じたわ」
レンは気がつくと、リリスの魔法に合わせて「サポート強化」を発動していた。彼女の火球の威力がわずかに増したことを感じ、少し自分の力が役立ったのだと自覚した。
だが、その後も次々と魔物が現れ、二人の前を遮るように襲いかかってくる。リリスの魔法は確かに強力だったが、彼女もまた体力が限界に近づいているようだった。
「リリス、無理するな!俺が少しでも支える!」
レンは再び「サポート強化」を使い、彼女の防御力を上げ、体力の消耗を軽減させた。リリスは少し息を整え、感謝の眼差しを向けてきた。
「……やるじゃない、レン。サポートなんて頼りないと思ってたけど、思った以上に助かってるわ」
リリスの言葉に、レンは心の中で少しずつ自信が芽生え始めた。
ボスとの対決
遺跡の最深部にたどり着いた二人の前に、巨大な魔物が立ちはだかっていた。体長は二メートル以上もあり、鎧をまとったような外見をした強力なモンスターだった。
「これは……ヤバいな」
レンは恐怖を感じながらも、リリスを守るために剣を構えた。だが、リリスは怯むことなく冷静に魔法を発動しようとした。
「レン、しっかりサポートしてね。これを倒せば依頼達成だから」
その頼もしい言葉に、レンは気持ちを奮い立たせた。彼のサポートスキルがリリスの魔法をさらに強化し、彼女の火球が通常よりも巨大になった。二人の力が合わさり、火球は強力な威力を持って魔物に直撃した。
しかし、ボスはそれでも倒れることなく、怒り狂ったように二人へ襲いかかってきた。レンは必死にリリスをかばい、スキルを使い続けて彼女の防御力を補強した。
「くそ、もっと強い力があれば……!」
その瞬間、レンの中に新たな力が湧き上がるのを感じた。彼の「サポート強化」が一瞬だけ進化し、「集中強化」に変わったのだ。彼はその力をリリスに向け、さらに彼女の魔力を引き出すサポートを行った。
「いける……これで決めるわよ!」
リリスは再び火球を生成し、全力で放った。その火球はまばゆい光を放ち、ボスに直撃。ボスは最後の咆哮を上げ、ついに倒れた。
帰還と友情の芽生え
依頼を達成した二人は、無事にギルドに帰還した。レンは疲れ切っていたが、リリスと共に無事に生還できたことが何よりも嬉しかった。ギルドの職員も彼らを称賛し、報酬を手渡した。
「レン、あなたのおかげで助かったわ。サポートも捨てたもんじゃないわね」
リリスが少し照れくさそうに言うと、レンも照れ笑いを浮かべながら答えた。
「いや、俺もリリスが頼もしい仲間でよかったよ。これからも一緒にやっていこう」
その言葉に、リリスも頷き、二人の間には確かな友情の絆が芽生えていた。
次回予告
次回、第3話:「試練の塔と新たなるスキルの覚醒」
新たな冒険の舞台は「試練の塔」。そこには強敵が待ち受け、レンとリリスに再び試練が課される。サポートスキルの真価が問われる場面で、レンはさらなる成長を遂げるのか——
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