偽家族——犯罪者の巣窟で

沼津平成

第1話 高校生二人、シュウヤとサキョウ

 誰それが死んだ、という言葉にもうあまり惹かれなくなってきた。連日テレビで取り上げられているニュースは、シュウヤとサキョウの二人組の犯行だらけだ。

「宝石店の窓ガラスがられて、二千万円相当の被害が出ました」

 キャスターが読み上げる。

「防犯カメラの映像によると、犯人は鈴木修也容疑者たち二人組の反抗と思われます。警察は指名手配を始める見通しです」

 まじで? 悟られてんじゃん。シュウヤはサキョウを呼びに行くが、サキョウはいない。

「あ……続報です! 容疑者のうち一人、えーと、猪野左京容疑者! 逮捕されました。猪野貴恵いいのたかえさんの今の心境は——」


 現地の高村カメラの配信に映っていたのは、紛れもなく、二人の部屋の窓だった。

 

 窓に出て確かめてみようかと思った。しかし、もしそれが本当だったならば自分もばれてしまう。左京、吐くなよ——。暗闇の中、修也はずっと祈っている。


「左京容疑者はこのホテルで逮捕されました。ホテルの支配人に話を伺います。ニノ谷さん……」

 大声が響く。の声なのだろうか。

 そうだとしたら、俺は終わりだ——修也は頭を抱えた。

 親友を失った今、自分はもうどうすりゃあいいのだろうか。

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