進級

沼津平成

なもなき赤の他人の恋

 進級した僕は、死ぬ寸前だった。机の隣の左虎さとらが窓から僕を突き落とそうとしていた。

「左虎」

「何?」震えた声。

 一年の時から好きだった、それなのに——そういう寸前だった。意識が僕より早く落ちていって、消えてゆく……

 それなのに——最期まで伝えられなくて、ごめんね。悠真の最初で最後の恋は、こうして終わった。

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