冒険者学園で最底辺の僕が寵愛チート無双 美少女たちが寄ってたかって初めてを捧げてくるし、誰も僕を放っておいてくれないんですけど!?
六志麻あさ@12シリーズ書籍化
1 ゲーム世界のモブ冒険者に転生
「えっ、ここってもしかして――『アイゼロ』の世界……!?」
僕はその日、突然自分がゲーム内の世界に『転生』していることに気が付いた。
この世界での僕の名前はアーロン・ゼラ。
冒険者学園二年生で、Fランクの冒険者だ。
で、前世の僕は――。
「……駄目だ、はっきり思い出せない」
現代日本に暮らしていた高校生だったような記憶がある。
けれど、前世での自分の名前や家族、友人、そして……もしいたならば恋人のことなどは何も思い出せなかった。
要は自分のことや人間関係などはいっさい分からず、ただ自分が現代日本に生きていたことと、そのときにハマっていた据え置きゲームのRPG『アイゼリック・ゼロ(通称アイゼロ)』そっくりの世界に自分が生きているということくらいしか分からないのだ。
「『アイゼロ』って主人公が冒険者学園で無双したりハーレムを作る話だったけど、アーロンなんてキャラはいなかったなぁ……」
とはいえ、ここは明らかに『アイゼロ』の世界だ。
各国や町の名前もそうだし、冒険者学園にいる生徒の中にはゲームで見たことのあるキャラと同じ人物が何人もいる。
そんな中で、僕はゲームにはいないキャラクター……いや、たぶん名前さえ設定されていない『モブ』と考えた方が妥当か。
「あーあ、どうせなら主人公のアイゼリックに転生してみたかったな」
言って僕は苦笑した。
「ま、前世と似たようなポジションに生まれ変わったわけか」
前世の僕は徹底して『モブ』だった。
その他大勢としての人生を歩んできた。
そりゃ、恵まれた才能があったわけでもなく、家柄が良かったわけでもなく、努力も……大してしてこなかった。
だから、その他大勢として埋没するのは必然だった。
なのに、僕は主人公になりたい、と夢みたいなことを妄想し続けていた。
だから、今世では努力をしよう。
結局のところ、僕が前世で何者にもなれなかったのは『何もしなかった』からだ。
徹頭徹尾それに尽きる。
僕は『冒険者学園』に通っている。
その名の通り冒険者を育成する学園である。
『アイゼロ』の世界における冒険者というのは、ダンジョン探索者という意味合いが強い。
この世界には無数のダンジョンが存在する。
異界の神がこの世界に生み出した迷宮――ダンジョン。
その内部には未知の宝物や強力無比な武器、防具、そして異界のモンスターが巣食っている。
これらの調査や宝物の回収、放っておけばダンジョンの外にあふれ出すモンスターを事前に討伐すること。
それらが冒険者の主な仕事だった。
危険を伴う代わりに、報酬は高い。
たった一晩で一般庶民の生涯年収を超える額を稼いだ冒険者だっている。
どうやらアーロン・ゼラはそんな一獲千金の冒険者を夢見て、冒険者学園に入学したらしい。
らしい、というのは、さっき前世の記憶が目覚めるまで、僕の人格はアーロンの内部で眠っていたからだ。
そして、僕が眠っている間、アーロンは別人格だった。
その人格がいまどうなっているのかは分からない。
今までの僕と入れ替わりで、僕の心の中で眠っているのか。
消滅してしまったのか。
あるいは、僕の人格と融合してしまったのか。
ともあれ、今は僕がアーロン・ゼラなわけだけど、そうなる前のアーロンの人生については、僕の意志が関与していない『他人の人生』みたいな感覚だった。
自分の人生だけど、他人の人生。
脳には、それまでの人生の記憶が残っているけれど、それは僕という人格が決定したり、喜びや悲しみを経てきた記憶じゃない。
本当に『僕以外の人格』が体験してきた『他人の人生』同然の記憶だった。
で、その記憶をたどった限り、僕はパッとしない人生を歩んできたようだ。
他人より秀でているところなんて一つもない。
クラスの成績も下位だし、モテるわけでもない。
というか、彼女なんてできたことがないし、親しい女子もいない。
ぼっちで非モテだ。
結局、転生しても似たような負け組人生を送っているわけだ。
「はあ、せめて何か一つでも『これだ』っていうものがほしいなぁ……」
ぼんやりと考えていた。
自分の人生の証ともいえる『確固たる何か』が欲しいという気持ち。
前世から続く強烈な渇望。
「やっぱり――冒険者かな。せっかく冒険者学園に通ってるんだし」
前世でやりこんでいた『アイゼロ』は、僕にとってあこがれの世界だった。
プレイヤーキャラクターである『アイゼリック』に感情移入し――いや、僕自身がアイゼリックとなり、『アイゼロ』の世界を隅々まで冒険した。
数々のダンジョンを踏破し、いよいよ最後にして最難関のダンジョンに挑もうとしたところまでで……記憶が途切れている。
たぶん前世の僕は最終ダンジョンをクリアできなかったんだ。
その前に、なんらかの理由で死んだ。
「なら、今世で……最終ダンジョンをクリアする、っていうのはどうだろう?」
そう、僕が前世で成し遂げられなかったこと――それはゲームの話だけれど、今僕がいるのだってゲームそっくりの世界だ。
「目指してみるか」
目標を定めてみると、とたんにワクワクした気持ちが湧き上がってくる。
そうと決まれば、まずは――。
「自分の力を磨かないと、ね」
なにせ僕は最底辺のFランク冒険者だ。
ダンジョン探索はパーティで行うから、僕一人が弱くても他のメンバーに補ってもらうこともできる。
とはいえ、パーティっていうのは、だいたい同じランクの冒険者が集まって作ることがほとんどだ。
Fランクの僕が入れるパーティは当然、他のメンバーもFランクか、せいぜいEランクだろう。
そんな弱いパーティで最終ダンジョンをクリアするのは、はっきり言って不可能である。
僕が目標を叶えるためには、最強レベルのパーティに加入しなければ厳しい。
そうなると、まずは僕自身が強くなり、強いパーティに入れてもらえるようになる必要がある。
「よし、特訓だ!」
****
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