3 現代忍者の武器 ／ 死闘の幕開け
夜の闇が深く降りる中、忍者たちは影と同化し、戦場に静かに忍び寄った。
彼らの身には、伝統と技術が融合した武器が光を帯びて備えられている。
その中には、時代を超えた進化を遂げた飛び道具がいくつもあった——精緻に設計され、AIが組み込まれた最新の手裏剣や吹き矢、そして標的を自動追尾する苦無。
その刃はまるで知性を宿しているかのように、確実に魔物の喉元を貫く。
手裏剣が一斉に放たれると、闇の中をひそやかに飛び交いながら標的の動きに即座に反応して軌道を変える。
魔物が逃げ惑おうとするが、手裏剣のAIは逃げ道さえも計算し尽くしている。
回避不能の一撃が放たれ、鋭利な刃が魔物の喉元を切り裂くたびに、闇夜に一瞬、血の香りが漂う。数秒の静寂、そして次の一瞬には別の魔物へと狙いを定め、彼らの刃は次々と破滅の軌跡を描く。
一方、鎖鎌を操る忍者は、魔物の群れに向かって足を踏み出す。
鎖鎌は最新鋭のセンサーを搭載しており、敵の動きに合わせて即座に長さを調整し、絶妙なタイミングで打撃を加えることができる。
鎖が音もなく巻きつき、鋭い鎌が静かに、しかし無慈悲に魔物の肢体を引き裂く。鎌を手放す瞬間の彼の瞳には、ただ冷静な光が宿り、再び刃が次の獲物を捉えにかかる。
忍び刀を持つ忍者が宙を舞うと、その刀には遠隔操作機能が備わっており瞬時に振り抜かれるたび、刃がまるで命を得たかのように目にも止まらぬ速さで魔物を斬り裂く。
刀の切っ先がひらめくたび、魔物たちはその冷たい輝きに一瞬たじろぐが、その躊躇の隙を突いて無情な刃が何度も振るわれ、彼らは次々と闇へと還ってゆく。
隠し針もまた、影から放たれ、一つ一つの毒針が魔物の皮膚を刺し貫き、即座にその血流に毒が流れ込む。
意識を失い、倒れていく魔物たちの姿が増えていくが、針を放つ忍者の表情には冷ややかな決意が滲んでいる。
彼らにとってこの戦いは、闇に潜むものとしての誇りと使命であり、魔物たちの息の根を止めるその一瞬一瞬が、忍者としての存在意義そのものなのだ。
やがて、戦場には炎の匂いが立ち込め、煙玉が放たれ、濃厚な白煙が一面を覆い尽くす
。その煙の中、忍者たちの影が消え、魔物たちは彼らを見失い、焦燥と恐怖に苛まれ始める。煙の中で蠢く足音が一瞬途絶え、次の瞬間には、背後に忍び寄った忍者の一撃が容赦なく魔物の身体を貫く。
彼らの武器は、ただの道具ではない。それは一つ一つが彼ら自身の意志と呼吸を合わせた延長であり、闇に生きる忍者たちの魂そのものだ。
------------------------------
旭川の山奥に闇が立ち込め、魔物が湧き出した。森全体が静まり返り、不吉な気配に包まれる。
仙台の街に霧が漂う。暗がりに潜む影が揺れ、次第に近づく足音が人々を凍りつかせる。
東京の池袋で地面が震えた。魔物が地上に現れ、ビル群を黒い影が覆い尽くす。誰もが息を呑む。
大阪の繁華街が静寂に変わる。路地に潜む魔物が人々の気配を探り、暗闇の中にその姿を覗かせる。
高松の港に赤い波が押し寄せ、魔物が浜辺を歩き出す。港全体が不気味な沈黙に包まれる。
博多の夜空に黒雲が覆いかぶさる。魔物たちが街へと侵入し、人々は絶望に囚われて逃げ惑う。
日本各地に溢れ出た魔物の影が、ゆっくりと大地を支配していく。
------------------------------
池袋ダンジョンの1層。
その奥深くに潜むフロアボスの黒竜は、小型ながらも忍者を七人も屠った獰猛な存在だった。
漆黒の鱗がわずかに光を反射し、その赤い目が涼音たちを射抜く。
ダンジョンの薄暗い空間に緊張感が張り詰め、涼音たちは全員、戦う覚悟を胸に秘めていた。
「準備はいい？」涼音が低く問いかけると、陽と翔は無言で頷き、互いに視線を交わしてからすぐに散開した。
陽は腕の忍びの石が輝きを放つと、そこから自力で火遁術を呼び覚まし、まるで燃え立つような気迫を纏っていた。
翔は黒竜の鋭い動きを冷静に捉えつつ、周囲に徘徊する小型ゴブリンたちの動きを見極め、いつでも素早く攻撃に入れるよう準備を整えた。
涼音が声を上げた瞬間、仲間たちは一斉に行動を開始した。
陽は素早く忍術を発動し、火遁の術で小型ゴブリンたちの群れを焼き払う。
炎が弧を描き、ゴブリンたちが次々と燃え上がる中、涼音はその隙を突き、青い光を纏った手裏剣を投げ放って、残りのゴブリンたちの動きを封じた。
手裏剣が放つ青白い光は闇を裂きゴブリンの隙間を縫うように飛び、彼らの足元に突き刺さり、一瞬の硬直を生み出した。
その刹那、翔は冷静に黒竜の足元へ滑り込み手に握った小型の忍び刀を強く握り直すと、全身の力を込めて膝裏へと突き刺した。
鱗は硬く、刃先が浅くしか食い込まないが、それでも黒竜の膝をかすかに揺るがし、彼の足元にわずかな痛みを感じさせた。
しかし黒竜はその攻撃を受けてもなお動じず、前足を激しく振り下ろして大地を揺るがした。
涼音たちは一瞬ひるんで後退したが、すぐに踏みとどまり、涼音が鼓舞するように叫ぶ。
その声に呼応するように、彼女の中で青い光が再び力を帯び、彼女の刃に宿る。
涼音はその力を信じ、黒竜へ向かって再び突進した。彼女の刃が漆黒の鱗に滑り込むと、かすかに削られた鱗の下から微かな血が滲む。
涼音の一撃に応じるように、陽も再び忍びの石の力を引き出し、炎を帯びた手裏剣を手にする。その手裏剣を自らの力で投げつけ、黒竜の顔面に向けて一直線に放つと、手裏剣は黒竜の鱗に浅く食い込み、彼の片目の周囲に火花が飛び散った。
仲間たちも次の一撃に備えてそれぞれの立ち位置に戻る。
しかし黒竜はまるで彼女たちの攻撃を嘲笑うかのように、漆黒の口から強烈な暗黒のエネルギーを放ち、彼らを一気に飲み込もうとする。
「避けて！」涼音が叫び、全員が素早く身を翻して回避したが、その隙を狙って黒竜は彼らを囲むように小型ゴブリンたちを動かし始めた。涼音はその動きに目を光らせ、次の一手を瞬時に考える。
焦りの中で、翔が一瞬涼音に目を合わせ「一斉攻撃で」と冷静に指示を出す。
涼音は深く頷き、意志を一つにした彼らは再び持ち場へと散っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。