人間もぐらたたき


郊外のゲームセンターの奥の方に

自分たちの溜まり場がある。

地方の方なので、

新型のゲームは遅れて入ってきたり、

まあ、でもそれなりには楽しく過ごしていた。

そこで煙草を蒸しては

またアーケードゲームに

ハマっていた学生時代を思い出す。

「これな、前からあるけどなんだろうな」

そう彼が言ったのを聞いて

私も意識するようになった。

6つの穴が空いた、デジタルではない、

その板のようなものがやけに気になった。

よく見ると、ハンマーのようなものが

手前の部分に吊られていたのだ。

それを持った彼は、勢いよく振りかざす。

その6つの穴の手前、

真ん中に向けて振り翳した。

気持ちの悪い感触が彼を襲う。

少し生々しい気色の悪い感覚だ。

彼はハンマーから手を離し、

その穴を覗こうとする。

しかしながら真っ暗で中が確認できない。

それでも残るその感触。

数年ぶりに彼と会った。

そのゲームセンターは潰れてしまった。

更地になって会社ができた。

彼は会社員でじたばたらしい。

そんな話を切り出したのは自分の方だった。

彼は思い出して、暗い声を出した。

あれ多分人の頭だったんだよ。

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