第3話 爆ぜろグッドマン!

私はグッドマン!


最近特に治安が乱れている!


それを正すために私がいるのだ!


今日も世界をより良くするために


色んな人を助けるぞ!



あーんあーん


む!青年の泣く声が!今行くぞ!


どうしたんだ青年よ?


ネットで誹謗中傷が止まないの…


それはいけない!匿名で一方的に人を傷つけるなんて!


うおおおおおおおおお!


え、何?


ここどこ?


あいつ誰だよ?


誹謗中傷の書き込みをした人たちをここに集めたぞ!これなら公平だ!思うことがあるなら正々堂々面と向かって言えばいい!青年も言ってやりなさい!


あ、でも、直接本人とやり合うのは怖いっていうか、弁護士とか挟みたいっていうか…


そんなの必要無いじゃないか!問題となっている両人がここにいるんだから!あなた方も言いたいことがいっぱいあるんだろうこの青年に!お互い好きなだけ言い合えばいい!さぁ!




そうか!これ以上は無いようだな!


ほら誹謗中傷が無くなった!もう匿名で悪口を言うんじゃないぞ?


あ、ありがとう?


何のために連れてこられたの?


さぁ?



あーんあーん


む!壮年の泣く声が!今行くぞ!


どうしたんだ壮年よ?


せっかく並んだのに列に割り込まれちゃって…


それはいけない!順番が前になりたいからってなんと卑しいことか!


うおおおおおおおおお!


あんたは深夜から並んでいるとは言ってたが店は禁止してたじゃないか!


ルール違反してるのに前に並ぼうとするなんて


そっちが割り込みじゃないか!


やめなさい!そんな大勢で一人をイジメるのは!知らなかったのなら仕方ないじゃないか!それだけで壮年の努力をすっかり無下にしてしまっていいのか!思いやりのある世の中であるべきじゃないのか!


…いやでもルールがあるから


まだ言うか!そういうところがダメだと言っているんだ!人の言うことを素直に聞けないのは良くないぞ!



ほら並べた!次からはちゃんとルールを守るんだぞ!


これなら転売分買占めできる!ありがとう!



あーんあーん


む!女性の泣く声が!今行くぞ!


どうしたんだ女性よ?


電車でお尻を痴漢されたの…


それはいけない!車内でそんな破廉恥なことを!


うおおおおおおおおお!


だから私はやってませんって!リュックを抱いてたんですから!警察でも何でも呼んでくださいよ!指に残ってる繊維とか調べてくださいって!


何を言うんだ往生際の悪い!被害に遭ったという女性がいるんだ!触ってなくても触ったかもしれんだろ!自覚が無くとも社会的悪になる時はあるんだ!とにかく謝りなさい!さぁ!



どうした!ごめんなさいも言えないのか!いい歳して!


…すみ、ません、でした


ほら認めた!だが人間はいくらでもやり直せる!綺麗な身体になって戻ってくるのを待ってるぞ!


犯罪者を捕まえてやったわ!ありがとう!



今日のパトロールも頑張った!


全く周りが見えない人ばかりで困ったものだ!


だがこれは私の使命だ!


世界をもっともっと良くするために


これからもパトロールを頑張るぞ!



グッドマン、グッドマン


?私を呼ぶ声が?誰だ?


グッドマン、グッドマン


なんだ君たちは


何かに困っているのかい?


グッドマン、グッドマン


おい!言いたいことがあるならはっきりしなさい!じりじり近づいてきて気持ち悪い!


グッドマン、グッドマン


なんだ!やめろ!近寄るな!私に触るんじゃない!


グッドマン、グッドマン


やめろ!嫌だ!やめて、ください!


グッドマン、グッドマン


うあああああああああ!


グッドマン、グッドマンは、何のため?誰のため?


いらない、いらない、グッドなんて、誰もほしくない


教えて、あなたのグッドは、何?



昨夜未明、男性の遺体が発見されました


男性は無職で、グッドマンを名乗り世界をより良くする活動を行っていたとのことです…


これは、バッド?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

グッドマン参上! @kamulo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ