第6話
脱出計画を着々と進める中、遥斗とリセリアは、奴隷を管理している執政官・ガイルが影で数々の不正を働いているという噂を耳にした。彼は一般国民から金品を巻き上げ、衛兵にも賄賂を送り込んで、自らの地位を守っているらしい。さらに、奴隷たち対しても執拗に嫌がらせを繰り返している。リセリアもその一人である。
リセリアが悔しげに口を開いた。
「奴隷たちがどれほど苦しんでいるかも知らず、あの男は私たちを物のように扱っているわ。今までどれほどの人が無理やり働かされて耐えかねて、命をたったか……」
遥斗はリセリアの怒りに静かに頷いた。自らの復讐心も相まって、彼の目に決意が宿る。
「よしこの手で奴に報いを受けさせてやる」
「そんなことできるの?」
「まぁ見ててよ」
その夜、二人は計画を立て、ガイルが一人で自室にいるタイミングを狙って行動を開始した。書庫で手に入れた地図の情報を元に、衛兵に見つからないよう慎重にガイルの部屋に近づいていく。
ようやく部屋に忍び込むと、ガイルは机に向かって金貨を数えていた。国民から盗んだ金品で手に入れたものだろう。突然現れた二人を見て驚き、慌てて金貨を隠そうとするガイルに、遥斗は鋭い視線を向ける。
「ガイル、お前の悪事はすべて見抜いている」
ガイルが冷や汗をかきながら後退りする中、遥斗は手をかざし、秤の力を発動させた。ガイルの周囲に暗い靄が漂い始め、それはやがて過去の行動を映し出す幻影となった。
幻影の中で、ガイルが奴隷たちから無理やり金を巻き上げ、衛兵に賄賂を渡していた様子が次々と浮かび上がる。さらには、彼が無理やり労働を強要し、奴隷たちが倒れる姿も映し出される。
「ち、違う!これは何かの間違いだ!俺はそんなことは――!」
ガイルは叫ぶが、秤の力はその言葉を虚偽と見抜き、さらに強い幻影を映し続ける。
周囲の闇がガイルを包み込むと、彼の嘘と悪事が目に見える形で現れ、精神的な重圧が彼に襲いかかった。ガイルはその場に崩れ落ち、涙ながらに許しを請うも、遥斗は冷たい眼差しを向けた。
「お前が奴隷に与えた苦痛を、これで少しは理解しただろう。だが、これはまだ序章に過ぎない」
「何?何が起きてるの?」
リセリアは目の前で起こっていることに対して理解が追いついていないようだった。
「くっ。許してくれぇ!俺が何したって言うんだ」
「うるさい。お前が今までやっていたことは到底許されないことだ。そのままそこで走馬灯のように思い出しながら精神的苦痛を浴び続けるんだな!」
遥斗は、ガイルに対して叫びながら伝える。
「ねぇ、遥斗本当に何が起きているの?」
「説明は後。とりあえずその机の上の金貨奪っちゃおうか」
遥斗はリセリアにそう告げる。それを聞きすぐさまリセリアはガイルの机から金貨を取る。
二人は部屋を後にし、薄暗い廊下を進みながら、お互いに小さな微笑みを交わした。
「遥斗、ありがとう。なんだかスッキリした。でもどうやったの?」
「実は……」
遥斗は、自分がこの世界に召喚されてから起きたことの詳細について事細かく説明した。リセリアは、相槌をうちながら興味を持って聞いた。
「そんなことがあったんだ。でもその能力上手く活用したらとんでもなくすごいんじゃない?」
リセリアは、活き活きとした表情でそう言った。
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