ようこそ新世界
@ituki1022
第1話
白い粉が舞い降りる。雪だ。
(おぉ、綺麗だ)
雪を見ると、心が癒される。
ふわりとした雪が心が洗い流してくれるようだ。
周りを見渡すと、幸せそうに歩く人たちばかりだ。
腕を組んで歩くカップル、子供と手を繋ぎながら歩く親など、
それぞれの幸せがそこにあった。
心温まる。
家に早く帰って、お風呂で体も温めよう。
「ダーリン、待ってたよ」
突然、しっとりとした感触が手に触れた。
驚いて振り向く。
桃色のロングヘアの整った目鼻立ちの少女がつぶらな瞳をまっすぐこちらに
向けていた。
「えっと、貴方は?」
「ダーリンの恋人だよ」
「えっ?」
卒爾、起こった出来事に僕は理解が追い付かない。
目の前の彼女は僕の恋人だと仰るが、僕はこの方と今初めて出会ったばかりだ。
まさか、美人局的なやつではないだろうかと不安になる。
「とりあえず、家に帰ろ☆」
手を引っ張られる。
驚くべき事に彼女は僕の家を知っていた。
部屋の扉の前まで来てしまった。
「ダーリン、鍵開けて?」
今すぐ逃げたい気分だけど、手をきっちり把握されている上に
相違なく逃げられないと本能が告げている。
僕は諦めて、扉を開けて彼女を中に招き入れた。
「暖かい物はいかがですか?」
「喜んでいただくわ☆」
二人分のカフェオレを用意して、テーブルの上に置いた。
「ありがとうダーリン」
「いえいえ」
「ダーリン、私の事思い出せない?」
「えっ、僕達会った事あるんですか?」
「あるよ☆その時ダーリンは可愛い子供だったよ」
そんな小さい時から知っているって、ますます彼女が誰だかわかりかねる。
「ダーリン、額の傷は今はどう?」
その言葉を耳にした途端、電流が流れたような驚きを受けた。
「どうして、その事を?」
「その時からダーリンを知っているからだよ」
可愛らしい笑みを浮かべて、こちらをまっすぐ見る。
「申し訳ないのですが、貴方が誰だか僕には思い出せないです」
「ごめんね、意地悪しちゃった」
ますますなんなんだろう、この方。
「ダーリン。貴方は小学校の時に教室に入った蛇を覚えている?」
「どうして、その事を?」
「私の正体がその蛇だからだよ☆」
手に持っていたマグカップを落とした。
今、目の前は彼女はなにっていったんだろう?
僕の聞き間違いかな?
「驚いているようだね。こんな可愛い女の子になって会いに来るなんて思わなかった
でしょ?☆」
「い、いや、そういう問題では無くてですね…」
不得要領だと申し上げたい。
「で、では、質問致します。僕の事を知っているなら、僕の名前を当ててください」
「
「っ!?」
まさか、その事までご存知だとは。
彼女の言っている事は食言ではないようだ。
「はい、今は大丈夫です。ご心配ありがとうございます」
「お礼を言うのは私。ダーリンが私を守ってくれたから、今の私がある。
ありがとう。そしてごめんなさい。私のせいで傷跡が付いてしまって」
「いいえ、問題ないです」
彼女のお腹が、可愛らしい音を鳴らした。
「良かったら、一緒に夕飯どうですか?」
「喜んで!今日は私がダーリンに手料理振舞ってあげる♡」
丁度疲れていたので、助かる。
その提案に僕はありがたく乗った。
調理中の彼女の姿は微笑ましかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます