第12話|永遠の告白
夢は、20歳を迎える前の一週間、愛と斎藤夫妻(斎藤一護、斎藤美弥子)と共に新居の引越しを祝った。夢も新居に招待され、楽しげな雰囲気の中で、愛をひっそりと見守りながら、彼女への感謝と心配を感じていた。二人の間には微妙な感情があったが、夢はずっとその気持ちを伝える勇気がなかった。
_________________________________________________________
しかし、東京ドームのステージに立つ日が近づいたその時、愛は自宅の住所が漏れたことが原因で危険に直面した。
一人の花束を持ったファンが突然愛の家に押し入り、攻撃を仕掛けた。
そのファンは包丁を手に取り、愛の腹部に一刺しした。
激痛が走り、愛は思わず息を呑み、力を失って倒れそうになった。血が流れ出し、瞬く間に服を赤く染めた。
視界がぼやけ、愛はただ夢を守りたかった。
しかし、痛みがますます強くなる中で、愛は意識が遠くなるのを感じた。その時、意識が薄れそうな瞬間に、愛は叫んだ。「夢!近づかないで!」
愛の声はかすかで、けれど強い守る本能が感じられた。何とか夢に手を伸ばし、彼女を守ろうとした。
「ん?どうしたの?どうして来ないでと言うの?」夢はその声を聞き、急いで近づいてきた。
夢は血だらけの愛を見て、慌てて彼女の元に駆け寄った。
「愛!愛、どうしたの?!病院に行こう!」夢の声は遠くから聞こえるようで、それでも星野愛の心には温かさが伝わった。彼女は弱々しく夢を抱きしめ、二人の心音を感じた。まるで時間が止まったかのような静けさの中で。
「夢……」愛は必死に低くつぶやき、笑顔を保とうとした。「私は……大丈夫、あなたがいるだけでいい。」愛の声はか細くても、温かい力がこもっていた。
夢の目に涙が溢れ、震える声で小鳥のように言った。「ダメ!そんなこと言わないで!あなたは絶対に生きていてほしい。私たちにはまだ一緒に叶えたい夢があるんだから!」
その時、夢の心は絶望と恐怖でいっぱいだった。彼女は愛の冷たくなりつつある手をしっかりと握り、涙が止まらなかった。
「愛、私は……ずっとあなたが好きだった……実は、ずっと伝えたかったんだ。私はあなたへの気持ちが友達以上だって感じてる。あなたと一緒にいたい……」
愛はもうすぐ意識を失うことを感じながらも、無理にでも覚醒を保ち、夢の手をぎゅっと握りしめ、弱々しくも確かな声で言った。「夢、私も……本当にあなたが好き……どんなことがあっても、あなたはしっかり生きて、自分の夢を追い続けて。」
「そんなこと言わないで!」夢は泣きながら、涙が止まらず、喉は震え続けた。心の中は絶望でいっぱいで、目の前の現実はまるで悪夢のように痛々しかった。愛を助けたいけど、無力だった。
「私はあなたを忘れない……必ず私たちの夢を実現する……もし……次の人生で会えることがあれば……」愛は必死に言葉を絞り出し、別れが迫る中、強い決意と寂しさが滲み出ていた。命をかけてでも、愛は夢に力を与えようとしていた。
夢はその場に崩れ落ち、愛の温もりが冷たくなっていくのを感じ、心は引き裂かれるようだった。「愛!私から離れないで!あなたを失いたくない!」
愛の口元には微かな笑みが浮かび、六角形の星のように輝く瞳が、夢を見つめていた。彼女は生命の終わりを感じながらも、母のような深い愛を感じていた。
その瞬間、愛は全ての力を振り絞り、夢に告げた。「絶対に私を忘れないで。」
最後の息が途切れると、愛の身体は冷たくなり、夢はその現実を受け入れられなかった。涙は止まることなく溢れ続け、愛を抱きしめながら、心の中でただ一つの思いが浮かんだ。忘れない、絶対に忘れない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます