第2話|愛と夢の初めての出会い(後編)

雨の滴が窓を静かに叩き、外界の騒音を遮っていた。愛は心の中に長い間隠してきた感情が、波のように押し寄せるのを感じ、黒井夢の真剣な視線に向き合うことで、心に小さな希望が芽生えるのを感じた。


「本当にそう思うの?」愛は小さな声で尋ね、不安そうに目を輝かせた。なぜかこの認められた感覚に驚きを感じていた。


夢は頷き、さらに明るい笑顔を見せた。「そうよ。あなたの瞳は夜空の星みたいに、特別に輝いている。」


その言葉はまるで愛の心の一角を照らし出し、心が軽くなるのを感じた。長い間抑えてきた孤独感が、この瞬間に解放されたかのようだった。「わたし…ありがとう。」


夢は微笑みながら続けた。「じゃあ、一緒に何かしない?例えば、絵を描くとか。」そう言いながら、夢は携帯しているカラフルな色鉛筆と白いスケッチブックを取り出し、期待の眼差しを愛に向けた。


「絵を描く?」愛は驚いた表情で、その提案に対する興奮と緊張が交錯していた。「わたし、絵があまり得意じゃない。」


「大丈夫、心の中のまま描けばいいんだよ。」夢の気楽な口調は、自然と愛の心に火を灯すようだった。


愛はしばらく黙って考えた後、ゆっくりと頷いた。スケッチブックを手に取ると、その紙に触れる瞬間、何とも言えない感覚が湧き上がってきた。そして、紙の上に星を描き始めた。それは彼女の心の中で自分を表す唯一の存在だった。


夢はそばで静かに見守りながら、時折雲のような浮遊するものを描き、満足した表情を浮かべていた。二人の少女の心は、この静かな空間で無言のまま触れ合い、次第に溶け合っていった。


時が経つにつれ、愛の絵は徐々に生き生きとしてきた。星を描き終えると、その周囲に小さな点を散りばめ、まるで夜空に浮かぶ他の星々のように、きらめきが増していった。


「すごくきれい!」夢は驚きの声をあげ、「愛の星はまるで命があるみたい。」


愛の心に暖かさが溢れ、彼女が今まで経験したことのない感情が込み上げてきた。彼女はうつむき、微笑んでから再び絵に集中した。この感覚は彼女に自信を与えてくれるようだった。


「夢の絵もとっても素敵よ。」愛は振り返り、夢の作品をじっと見つめた。夢の描く雲はまるで動いているようで、夢幻的な彩りがあった。


「ありがとう!」夢の顔には明るい笑顔が広がり、純粋な喜びが目に映っていた。


その後しばらくして


星野愛の心には、言葉にできない感情が込み上げてきた。さっきの夢の期待に満ちた視線を思い返すと、彼女の心拍数が上がっていった。この瞬間、孤児院の世界はまるで二人だけのものになり、外の雨音や子供たちの騒ぎ声が遠く感じられた。


「その…イヤリング、きれいだね。」愛はついに勇気を振り絞り、小さな声で言った。視線は夢の耳に揺れるトランプの模様に釘付けだった。そのイヤリングは独特の輝きを放ち、誰もが目を留めてしまうような存在感があった。


夢は微笑んでイヤリングに触れ、懐かしそうな表情を浮かべた。「これはね、お姉ちゃんが三歳の誕生日にくれたものなの。お姉ちゃんはマジシャンだって聞いてるの。これもお姉ちゃんが自分で作ったんだ。」


「マジシャン?」愛の好奇心が引き出された。「それってどんな仕事なの?」


「うーん、いろんな手品を見せたり、色んな不思議な道具を作ったりするんだよ。」夢は少し誇らしげな表情を浮かべたが、すぐにかすかな哀しみが影を落とした。「お姉ちゃんはいつも素敵な手品道具を作ってくれるって言ってたな…幼い頃、一度お姉ちゃんに連れられて、彼女のショーを観に行ったことがあるんだけど、そのカラフルな道具がまるで夢の世界みたいで。」


愛は口を開き、さらに質問をしたかったが、何を言えばいいか迷っていた。彼女は夢の言葉にひとりの孤独を感じた。この小さな孤児院の中で、物語までもが時に飲み込まれてしまうようだった。


「それって、会うことはあんまりないの?」愛は思わず尋ね、夢の過去をもっと知りたいと心から思った。


夢の笑顔はだんだんと陰りを見せ、「あまり会えないんだ。お姉ちゃんもお仕事で忙しいからね、いつもおうちにいないことが多いんだ。」夢の声は少し低くなり、心の中の寂しさを隠すようだった。


愛はその話を聞いて、心が少し震え、ぼんやりと過去の自分を思い出していた。

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2024年11月9日 05:00
2024年11月10日 20:00
2024年11月12日 02:00

友情から恋へ、そして取り返しのつかない別れまで @yuniAkatsuki

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