友情から恋へ、そして取り返しのつかない別れまで
紅月(あかつき)
第1話|愛と夢の初めての出会い(上)
陰鬱な午後、孤児院の子供たちは三々五々集まって遊び、部屋中には子供たちの笑い声と喧騒が溢れていた。部屋の隅、窓辺に黒髪の少女が膝を抱えて座り、ぼんやりと灰色の空を眺めていた。
星野愛、孤児院の制服を着たその少女は、他の子供たちを静かに見つめていた。彼女の悲しげな顔には、六芒星模様の瞳が異様な輝きを放っていた。
ここに住んで数年が経ったものの、彼女は一度もこの群れに溶け込むことがなく、心の中には説明できない「愛」の欠如がいつもあった。
そんな時、見知らぬ少女がそっと彼女の隣にやってきた。青い髪に、毛先が淡いピンクにグラデーションされたその少女は、金色の瞳が他の子供たちとは異なる輝きを放っていた。 彼女の顔には少し奇妙な笑みが浮かんでおり、どこか不安を感じさせる。
「あなたも一人なの?」少女は突然口を開いた。声は低く柔らかだった。
愛は彼女を見つめ、少し眉をひそめた。「あなたは誰?」
「黒井夢、ここに来たばかりよ。」夢は口をとがらせ、耳飾りに付いたトランプの模様を指で弄んでいた。「みんな遊んでるけど、私は好きじゃないの。」
「あなた、みんなと遊ぶのが好きじゃないの?」愛は首をかしげ、新しい少女に興味を示した。
「うん、みんなうるさすぎるからね。私はもっと静かな方が好き。」夢は顔を上げ、愛の視線と交わり、口元に笑みを浮かべた。「あなたもそうでしょ?あなたも好きじゃないよね?」
愛は一瞬驚いたが、そっとうなずいた。彼女は夢のような人に出会ったことがなかった。まだ知り合ったばかりなのに、自分の心の中を見透かされているようだった。
二人はそれ以上言葉を交わさず、ただ静かに窓辺に座り、お互いの存在を感じていた。窓の外では、雨の音が徐々に孤児院の喧騒をかき消していった。
「あなたの目……とても綺麗。」しばらくしてから、夢がふと低い声で言った。
愛は一瞬驚き、自分の目に手を当てた。「みんなは変だって言うの。」
「いいえ、変じゃない。」夢は首を振り、柔らかな眼差しを向けた。「それはまるで星みたい、六芒星。とても美しいわ。」
愛の心臓が急に高鳴った。誰かにそんなふうに言われたのは初めてだった。彼女の心の中に、ある柔らかな感情が触れ、わずかに渇望が生まれていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます