第3話 登場人物に転生する話VS巻き戻りする主人公
ずっと思っていたんですよね。
小説や漫画、ゲームに出てくる登場人物に転生する話って、本来の登場人物の人格はどうなるんだろう、と。
というわけで、まずはどんなタイプがあるのかを考えてみます。
【1:本来の登場人物の人格が消えてしまうタイプ】
物心がつく直前に登場人物になってしまう作品は幼少期編がある物語には多く、そうすることによって本来の登場人物の人格は存在しないように描かれることが多いように感じます。また、本来の登場人物が生死をさまようようなイベントが発生したのちに入れ替わりが発生する演出を使うと、周囲からは心を入れ替えたように受け取られているようです。
物心がつく前の幼少期で入れ替わることで、すんなりと登場人物たちと関係を築くことができ、前世知識を持つ主人公の魅力で物語を動かすことが可能なのでしょう。
【2:本来の登場人物の人格はそのままに知識のみ取り出せるタイプ】
本来の登場人物の人格をそのままに、記憶として前世知識を思い出せる物語もあります。前世知識を思い出した前後では、周囲の登場人物たちからは同一人物であると受け取られている一方、挙動不審に感じられる場面が描かれがちです。
衝撃的なシチュエーションをきっかけに前世を思い出し、行動を開始する冒頭の作品に顕著だと思います。
【3:本来の登場人物の人格は残っているが、多重人格のように切り替わりが発生するタイプ】
元の人格は残っていて、条件によりスイッチする多重人格っぽい演出がある物語がこのタイプ。周囲の登場人物たちからは、状況によって別人だと捉えられるシーンがあることも多いでしょう。
このタイプの作品は、本来の登場人物の人格が主人公であることが多いように感じます。また、本来の人格と前世知識を持ち人格でバディ感を出せるのも魅力的だと思いました。
自分が接してきた作品ではこんな感じです。バリエーションはまだまだあるかもしれませんが、それは読者各自でお好きに議論してください。
本来の登場人物の人格についてどう折り合いをつけるかを早めに示しておいた方が、物語を読み進めるにあたって引っ掛かりが少ないのではないでしょうか。
で。
ここまで読んでお気づきの方はいらっしゃると思うんですけど、そこで次の話題です。
登場人物に転生する話って、転生元の主人公のほかに転生先の登場人物の設定もしっかり決めておく必要があるんです。
そう、物語世界への転生の作品って、その設定を組んだ時点でキャラが二人必要なんですよ。
読者は、できるだけ固有名詞を覚えるのを避けたいと思っているはずなんですよね。
作者としても、人名が減るだけで誤字を減らすことができるメリットがあると思うんですよ。
では、どうするか。
巻き戻ってしまえばいいんじゃね?
ちょっとおとなびた言動をするようになってしまう主人公になるはずですが、巻き戻ってしまえば自分の人格に大きなブレはないでしょう。未来の出来事としての設定と過去の出来事の設定がきちんと組めていれば作者としては問題なし。登場人物の名前も増やさなくて済むので人名を考えるのが苦手な人向き!
転生した場合のタイプ2の考え方が使えるので、書き慣れているなら便利!
というわけで、転生物語から巻き戻り物語に移った読者さんも作家さんも多いんじゃないですかね……そんなことないか。
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