第32話 自分に誇りを持つこと

創作を続ける中で、時に自分の作品に対して疑問を抱くことがあります。「これで本当にいいのだろうか」「もっと良いものを書けるのではないか」といった迷いや不安が押し寄せ、自己評価が揺らぐ瞬間は、誰にでもあるでしょう。私自身も、自分の書いたものに自信が持てず、他人の意見や評価に振り回されてしまうことがありました。


しかし、あるとき気づいたのです。どれだけ作品が未完成に思えても、それは紛れもなく「自分自身の言葉」であるという事実に。それに気づいた瞬間、自分の作品に対して少し誇りを持てるようになりました。たとえ完璧でなくても、自分が感じたこと、考えたことを表現したその努力には確かな価値があるのだと気づいたのです。


自分に誇りを持つことは、創作を続ける上で大きな力となります。たとえ他人からの評価が得られなくても、自分がその作品に込めた思いや努力を認めることができれば、それが次の創作へのエネルギーになります。私たちはつい、他人からの評価を自己価値の基準にしてしまいがちですが、本当に重要なのは自分がどう感じているか、自分がその作品に満足しているかではないでしょうか。


自分に誇りを持つためには、まず自分の努力を認めることが大切です。たとえ小さな進歩でも、書き上げたという事実そのものを称えるべきです。私は、どんなに短い文章でも書き終えたら、「よくやった」と自分に声をかけるようにしています。その積み重ねが、少しずつ自分を肯定する力となり、次の挑戦への勇気をくれるのです。


また、過去の自分と比較することも効果的です。他人と比べるのではなく、以前の自分と今の自分を見つめ直すことで、自分の成長を実感することができます。私も、昔書いた文章を読み返して「このときより今の自分は少しだけ進歩している」と思えると、自然と自信が湧いてきます。それが、自分に誇りを持つ基盤となるのです。


さらに、自分が書く理由を見つめ直すことも、自信を持つための鍵になります。「なぜ自分は書きたいのか」「何を表現したいのか」を改めて考えることで、自分の創作に対する思いが明確になります。その思いが強ければ強いほど、他人の評価に左右されることなく、自分の作品に対して誇りを持つことができるのです。


自分に誇りを持つことは、創作を楽しくし、自由にしてくれる力でもあります。他人の目を気にせず、自分が心から納得できるものを追求することで、創作はもっと豊かで充実したものになります。そして、自分が書いたものに誇りを持つことで、その作品が自分にとって特別な存在になるのです。


これからも、自分の言葉に誇りを持ち続けたいと思います。たとえ未熟であっても、それが今の自分の精一杯であるなら、それで十分だと思えるように。そして、自分の努力を認め、自分の表現に自信を持つことで、さらに自由な創作を楽しんでいきたいと思います。

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