第29話 外的な成功ではなく内的な満足

創作を続けるうえで、外的な成功――例えば多くの読者からの称賛や、評価されること――は確かに嬉しいものです。しかし、それが創作の最終目的になってしまうと、本当に自分が求めているものを見失ってしまうことがあります。私が創作において大切にしているのは、外的な成功よりも、内的な満足です。それは、自分の心に正直に向き合い、書きたいものを表現しきったという感覚から得られるものです。


かつて、私も評価を求めすぎて創作に悩んだ時期がありました。「これを書けばもっと読まれるだろうか」「このテーマなら人気が出るかもしれない」と考えながら書いた作品は、どこか自分の中で空虚なものに感じられることが多かったのです。読者の反応を期待しながら書くうちに、創作の本来の楽しさが失われていき、自分の言葉が他人のためだけのものになっているような感覚に陥りました。


そんなとき、自分に問いかけたのは「自分は何のために書いているのか」ということです。その答えは意外にも単純でした。「自分が書きたいから」――その純粋な気持ちを思い出したとき、創作が本来持っている楽しさや意味を取り戻すことができたのです。外的な成功を意識せず、自分が満足できる作品を作ることに集中するようになってから、創作そのものがもっと自由で豊かなものになりました。


内的な満足を得るためには、自分の心に正直に書くことが大切です。自分が感じたままを表現し、誰にどう思われようと、自分が納得できる作品を作ること。それが、創作における本当の充実感をもたらします。私は、自分が書き上げた作品を見て「これが今の自分にできる最善だ」と思える瞬間が、創作の最大の喜びだと感じています。


また、過程を楽しむことも内的な満足につながります。完成した作品だけではなく、言葉を選び、物語を紡ぐそのプロセスを楽しむことができれば、結果に関係なく創作が満足感のあるものになります。私は、書きながら新しい発見をしたり、自分の中の感情に気づいたりする瞬間を大切にしています。それが、外的な成功にはない深い喜びをもたらしてくれるのです。


さらに、内的な満足を追求することは、創作を長く続ける秘訣でもあります。外的な評価は一時的なものですが、内的な満足は自分の中に積み重なり、自分を支える力となります。評価や結果に一喜一憂せず、自分の中で「これを書けて良かった」と思えることが、次の創作への意欲を生み出してくれるのです。


創作は他人のためだけではなく、自分のための行為でもあります。内的な満足を大切にすることで、作品がより自分らしいものとなり、創作そのものが生き生きとしたものになります。これからも、外的な成功に囚われず、自分の心が喜ぶものを表現し続けていきたいと思います。


創作が持つ本来の意味を大切にし、書くことで得られる内的な満足を追求する。それが、私にとって創作を続ける理由であり、喜びです。

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