第24話 自分にしか書けないものを探す

創作を続けていく中で、「自分にしか書けないもの」を見つけることが大切だと感じています。特に、たくさんの作品が生まれる今の時代、どこかで見たような表現や似たようなテーマに埋もれてしまうのではなく、唯一無二のものを探し、形にすることが、自分の表現を確立するために欠かせないのです。自分にしか書けないものを追求することで、作品には自分の人生や感性が宿り、より深い意味が生まれます。


この「自分にしか書けないもの」を見つけるためには、まず自分の経験や価値観に向き合うことが重要です。私たちは誰もが異なる過去を持ち、異なる視点で世界を見ています。日常の些細な出来事や心に残る思い出、自分が大切にしている価値観や信念が、創作のヒントになり得るのです。例えば、自分だけが経験した出来事や、他人が見逃してしまいそうな感情の機微を表現することで、作品に独自の色が加わります。


また、自分が強く興味を持つテーマに集中することも、自分にしか書けないものを見つける鍵になります。世の中にはたくさんのテーマがあり、何を書くべきか迷うことも多いかもしれませんが、自分の心が惹かれるものを深く掘り下げることで、他人には書けない視点や切り口が生まれてきます。私は執筆を始める際に、自分が「なぜこのテーマを書きたいのか」「どの部分に最も強く共感を感じるのか」を自分に問いかけ、そこに注目して表現を進めるようにしています。


さらに、自分の弱さや葛藤も作品に取り入れることで、自分にしか書けないものが生まれます。私たちは誰もが完璧ではなく、迷いや不安、挫折を経験しています。そのような自分の中の弱い部分を正直に表現することは勇気が要りますが、そこにこそ本当の独自性が宿ります。自分が心から伝えたい痛みや悲しみを形にすることで、作品がより真実味を持ち、読者に響くものになるのです。


また、自分にしか書けないものを探す過程は、自己探求の時間でもあります。創作を通じて自分が何を感じ、何を伝えたいのかを深く考えることで、自分自身をより理解することができるのです。この自己探求の積み重ねが、自分だけのスタイルや表現を磨き上げ、創作をより豊かで意義のあるものにしてくれます。


創作は、他人と比べるためのものではなく、自分の中にある「本当の声」を見つけ出すための行為です。自分にしか書けないものを探し、表現し続けることで、作品は他のどれとも違う唯一無二の存在になります。そして、その作品こそが、自分自身の証であり、創作の醍醐味だと思います。


これからも、自分にしか書けないものを探し、心のままに表現していきたいと思います。人と違うことを恐れず、自分の内側に眠る言葉を信じて、私だけの創作の道を歩んでいくつもりです。

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