他人を意識しない執筆活動

第14話 人の目を意識せずに書く技法

他人の目を意識せず、自分だけのために書くのは理想的ですが、実際には難しいと感じることが多いかもしれません。特に、書き進めるうちに「この表現で伝わるだろうか」「これで読者に共感してもらえるだろうか」といった他者の視点が頭をよぎることは珍しくありません。しかし、創作を真に自分のものにするためには、意識的に人の目を排除する「技法」を取り入れることで、自由な表現に近づくことができます。

私が実践している方法のひとつが「誰にも見せない前提で書く」という意識です。執筆を開始する前に「これは公開しない作品」と仮定し、純粋に自分のためだけに書きます。そうすることで、自然と「他人にどう思われるか」を気にする心が薄れていき、自分が本当に表現したいものに集中できるのです。もちろん、後で作品を見直してから公開を決めれば良いので、自由な表現を追求できる安心感が生まれます。

また、「独り言のように書く」ことも効果的です。まるで自分に話しかけるように、感情や思考の流れをそのまま言葉にするスタイルで書いてみると、他人の目を気にする余地がなくなります。これは、自分の内面との対話のような形で、自分が感じたままの表現を引き出しやすくするための方法です。

さらに、「書く時間を限定する」ことも役立ちます。短い時間内に書くことで、考えすぎずに一気に書き上げる感覚が生まれ、他人の目を気にする余裕がなくなります。この短時間集中は、自分が心から表現したいことを瞬発的に引き出す効果があり、後で見直したときに「自分らしい言葉」に気づくことが多いのです。

もうひとつのポイントは「自分の中のテーマを探し、それにのみ集中する」ことです。書き始める前に、自分がこの作品で一番伝えたいテーマを一つ決め、そのテーマだけに集中して書くようにしています。これにより、表面的な表現や他人受けを意識することなく、真の表現がしやすくなるのです。

人の目を意識せずに書くのは簡単ではありませんが、こうした技法を取り入れることで、他人から解放される感覚を味わうことができます。書くことが自分との対話であり、心のままに表現できる喜びを感じることで、作品はより自分らしいものになっていくのです。

人の目に縛られることなく、自分の言葉に集中することで、自由で豊かな創作の世界が広がっていきます。他人の期待にとらわれず、自分の感覚を大切にすることを意識しながら、私は今日もまた、自分の言葉を綴ります。