第18話:お酢?柑橘類?
ところ変わって自宅のキッチン。隣では先輩がら白菜を真っ二つに切ってサランラップで巻いている。
「では、鮎の方はじめますね?まずは鱗を包丁の裏でこそぎ落として…」
シャッシャッャ
シャッシャッャ
「これ全部やっちゃいますね」
シャッシャッャ
シャッシャッャ
「鱗が取れたことを確認しながらですが、水を流しながらヌメリを取ります。これをサボると匂いがするかもです」
「とれたら、お腹の方から包丁を入れてっと…軽くお腹の辺りをおしてやると、内臓が取れやすい気がします。あとは水を流してお腹を開いて血合いをしっかりとって、身が崩れないようにお腹を開く時はソフトに、です。あ、先輩そこのキッチンペーパーを取ってもらえますか?」
ボーッと見ていた先輩は声をかけられたことに気がついて慌てて取ってくれた。
「あとはキッチンペーパーでしっかり水気を取って、両面に塩を振ります。こうやって化粧塩をしたら焦げないようにアルミホイルでも被せる方がいいかもしれません。先輩はグリルで焼きますか?それともオーブンですか?」
「んー!?オーブンかな?」
「じゃあクッキングペーパーは少し揉んでその上に置いて下さい」
「どうして?」
「皮がくっつかないように、ですかね?オーブンなら200度程度で余熱を入れたら鮎を入れて、10分くらいで両面とも焼き色を付けてください。おそらく温度はそれくらいだと思いますが、不安でしたら良枝さんに確認してもらって」
「優雅くんはどうしてるの?」
「僕は鮎の塩焼きの時はグリルですかね?先にグリルを強火で熱しておいて、網にお酢か柑橘類を塗って、それから鮎を置いて中火で10分くらいですかね?」
とこれまたおじいちゃんに教わった受け売りを伝える
「お酢?柑橘類?それも皮がくっつかないようにですか?」
いつの間にかスマホでメモを取っている。
「そうですね。まずグリルの中というか網を先に熱しておくと皮がくっつきにくくなりますし、加えてお酢かレモンとかすだちとかを塗れば結構綺麗に焼けますよ?」
「教えてくださってありがとう優雅くん!」
引き続き真剣な眼差しでメモをとっていたが、メモをし終えて満面の笑みで礼を言う先輩。
「いえいえ、塩焼きはだいたいこうですから。先輩もほとんど知ってることだったでしょうし」
「良枝さんからはグリルの中を先に熱しておくのは聞いた覚えがありますけれど、お酢や果物は初耳です!」
と、目を輝かせている。
「早速お家に戻って作ります。お電話しながらでもいいですか?」
「はい。あ、でもそろそろ外も暗いですしおうちまで送ります」
大きめのタッパーに下ごしらえ済の鮎を入れ、サランラップで巻かれた白菜をトートバッグの中にいれる。
「ありがとう」
そう言った先輩が一瞬少し残念そうな表情をしたのは気のせいかな?
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