第7話。養殖用花嫁

 それからテントの中に入り込むまで、私はずっとハスキさんのことを考えていました。

 仲間と異なる見た目で生まれて、人に近い体が原因で対等な友達もできず、両親を人間に殺されて、足りない子扱いされて……。人でも狼でもない人狼の群れにおいてなお、彼女は異物だったのかもしれません。


 それでも自らの境遇を嘆くことなく、誰にも頼らずあの洞窟で一人で生きてきたのでしょう。

 それが彼女の言う誇り高い人狼の生き方だとしたら、私はその誇りを安っぽい同情で傷つけてしまったのでしょうか。


「あの人狼のことが気になるようだな」


「……はい」


「だが、ぼんやりしている余裕はないぞ。人払いができた今しか状況を整理する時間はない」


 テントに入ると、クレア様はランタンを点けました。

 普段は野生生物に襲われやすくなるために絶対に点けないのですが、どうやら今日は特別なようです。


「好奇心は冒険者にとって必要な素質だ。君と同じように、私もここで何が起きているのか気になっていた」


「クレア様もですか?」


「そうだ。そして冒険者は真っ先に正確な情報を手に入れる目と耳を持っていないといけない。そうでないと、悪質な依頼主に騙されて死ぬ」


「悪質……」


「依頼料が貰えないくらいなら、まだ良心的だ。中には非合法な仕事を依頼したくせに、口封じのために殺そうとしてくる奴もいた」


「酷い話ですね……」


「だから、物事を何でも鵜呑みにするな。冒険者を目指すなら、より多くの情報を集めて裏を探れ。目に見えるものだけが全てじゃない」


「はい!」


「何人かの人狼に裏も取ったし、すでに判断に足る材料は揃ったと私は思う。だが、これは君が請けた初めての仕事だ。君が現状を私に説明してみろ」


「自信はありませんが、やってみます!」


 クレア様は、なんの取り柄もない私を本気で一人前の冒険者に育ててくれようとしています。

 命を救ってくれた恩に報いるため、どんくさい私は人一倍努力してクレア様の期待に応えなくてはなりません。クレア様が作ってくれた授業の時間。絶対に無駄にしないために頑張ります。


「まず、今回の依頼内容は?」


 私が情報を整理しやすいように、クレア様は質問形式を選んでくれました。


「人狼の討伐です」


「もっと詳しい内容を覚えているか?」


「ええと、依頼主は開拓民で、村の近くに最近人狼の群れが住み着いたため、その討伐に協力してほしい。詳細は現地で説明する。これくらいでした」


「そうだ。だがこの時点で人狼の言い分と食い違う。わかるな?」


「はい。人狼さんたちはこの森にずっと住んでいると言っていました」


「どちらが正しいと思う?」


「………わかりません。でも」


「でも?」


「人狼さんたちがこの森で長いこと暮らしていたなら、その痕跡があるはずです。例えば、お墓とか、ゴミ捨て場とか、トイレとか……。その量や古さを調べれば、いつ頃からここに住んでいるのか分かると思います」


「おお? 合格だ。ちゃんと考えてるじゃないか」


 クレア様は意外そうな顔で褒めてくれました。


「ちなみに、ハスキの家のすぐ近くに古い墓が2つあった。さすがに掘り返してまで確認はしないが、彼女の両親のもので間違いないだろう」


「と、いうことは……」


「彼女の両親が死んだのは何年も前だ。これで嘘をついているのは依頼主の方だと判明した」


「なら次は、どうして嘘をついて冒険者を集めたのか、という点ですね」


「その通りだ。隠さなければならない理由が必ずある。違法行為や、組合の規定に引っかかるような後ろめたい理由だ。思い当たる節はないか」


 ううん……これは少し、難しいです。


「人狼さんたちの群れがあると都合が悪いから……」


「なぜだ? ここは人里からはるか離れた辺境の森だぞ。そしてあの長は人間に手を出せば群れは滅びると理解している。人狼が人間に手を出すとは考えにくい」


「でも、開拓しようとした場所に人狼さんが……」


「たまたまか? それはあり得ない。下調べもせずにいきなり開拓しようなんてなるものか。資源が取れたりして儲かる事を確認できてから、そういうのはやるんだ」


「ということは、依頼主は最初からここに人狼さんたちが住んでいることを知っていた……?」


「そうだ。おそらく過去にこの村に訪れた冒険者から聞いたんだろう。だが、問題はそこじゃない」


「そうなると、開拓というのは嘘で、本当の目的が別にあるということでしょうか?」


「その通りだ。心当たりはあるか」


「もしかして人狼さんたちそのものとか……」


「ああ、私もそう考えた」


 クレア様が大きく頷きました。そして自分のリュックからゴツゴツした何かの道具と共に、複数の小さな絵を取り出しました。


「これを見ろ」


「わぁ! こんな上手な絵、初めて見ました!」


「これは絵じゃない。写真だ」


「写真? 絵とは違うのですか?」


「違う。最近発明されて出回っているこの道具、カメラを使って強い光で目の前の景色を紙に焼き付けたものが写真だ。最近はこれで依頼達成の証拠を撮らないと金が支払われない仕事も増えてきたな。殺された冒険者達の荷物にあったから、現金と一緒に貰ってきた」


「今さらっと盗「そして、一緒に残っていたのがこれらの写真だ」


「あの、クレア様? カメラと現金を盗「これらの、写真だ」


「……はい。えっと、これは? 人狼さんたちが描かれていますね。ジャックさんもいます」


「その中に冒険者らしき男が一人写っているだろう。おそらくこの写真は、以前この群れを訪れた冒険者が撮影したものだ」


「もしかして、あの殺された三人の中に?」


「わからん。だがそれよりも重要なのはこっちだ」


 クレア様が差し出した写真には、ハスキさんが大きく写っていました。それも何枚も。同じ写真もあり、赤い丸で大きく囲まれているものもありました。


「ハスキさん、ですか?」


「そうだ。そしてもうひとつ、奴らがハスキに入れようとしていたものを拾ってきた。見てみるか」


「はい!……はい?」


 入れようとしていたモノ、って、ええええええ!?


「何でそんなモノ持って帰ってきちゃったんですか!?」


「え?いや、だってゆっくり調べる時間なかったし、とりあえず怪しいものは待って帰って後でじっくり調べようかなって」


「捨ててきてください! 触って変な病気になったらどうするんですか!?」


「まだ使えるのにもったいないだろう」


「使うつもりなんですかぁ!?」


「ああ、中身が何本かそのまま残っていたのは幸運だった。それにこのサイズを見てみろ。猛獣用かもしれん」


「中身!? 余計悪いじゃないですか! そんな趣味があったとは聞いてませんよ!? それに猛獣用って何ですか!? 使い分けできるなんて初耳ですよ!?」


「待て待て、君は何か勘違いしているな。もちろん私が自分に使うわけじゃない。これは人狼用だ」


「ひどい!」


「何とでも言え。こいつをブチ込まれればあの長でも無事では済むまい。狙うなら口の中か尻の穴だな」


「ひどいいい!」


「君も冒険者としてやっていくなら、いずれ使う時が来る。そう毛嫌いせずに持ってみろ。ほらほら」


「変な包みを押し付けないでください! 私は絶対使いませんからね!?」


「安心しろ、ちゃんとカバーもついてる。そう簡単に刺さったりしないさ」


「カバー!? カバーって何ですか!? まさか皮製じゃないですよね!? ね!? なんでわざわざカバー付きの選んじゃったんですか!?」


「ちゃんと持て、落としたら危ないだろ。どうだ?」


「どうって、何を言わせようとしてるんですかぁ……? すごく、大きいです……ううう……」


「絶対落とすなよ。揮発した中身を嗅いだだけでも意識を失うかもしれないぞ」


「嗅ぎません! それに意識を失うって!? そんなに危ないモノだったんですか!?」


「それはそうだろう。注射器なんだから」


「えっ?」


「ん?」


 クレア様に押し付けられた包みを開くと……注射器が入っていました。


「ですよねー! ですよね! 私、ちゃんとわかってました!」


「なんで君、顔が赤「それで! この注射器の中身は何だったんですか!」


「えっと……強力な麻酔薬のようだな」


「そうですか! ならきっとこれでハスキさんを眠らせて……眠らせて……?」


「ああ、誘拐するつもりだったんだろう」


「ハスキさんに狙いを絞って? でも、その、ハスキさんには失礼ですが、その、ハスキさんは群れの中でも……」


「能力が劣っている、か?」


「……」


「自他共にそういう評価だったな。それは君から見ても同じ評価なのか? 彼女は他の人狼よりも身体機能が低いから価値も低い、と?」


「はい……」


「それは奴隷だった頃の君が売れ残っていたから、そう思ってしまうだけだ。彼女はたりない子でも奇形児でもない。ハスキは奇跡の子だ」


 そうクレア様は断言しました。


「殺された冒険者は丸裸じゃない。全員武装し装備を整えていた。その上で人狼が眠りにつく昼間を狙い、ハスキ一人に対して三人で襲いかかったが敗北した。たかが14歳かそこらの、素手の少女にだ」


「でも、強さだけならもっと他の……」


「そうだ。素手で戦わせればきっと他の人狼の方が強い。だが重要なのは単純な強さだけじゃない。彼女が人の容姿と人狼の戦闘力を併せ持っていることだ」


「人の容姿が重要なことなんですか?」


「わからないなら宿題だ。人の体で出来ることを考えておけ。とにかく彼女は人間の完全上位互換だ。人の姿形を保ったまま人を遥かに凌駕する身体能力を持っている。そして極め付けには女性だ。つまり……」


 無理やり子どもを産ませることができるんだ。


 少し言い淀んだあと、クレア様は顔をしかめて吐き捨てるように言いました。


「彼女は若く、容姿も整っている。他の人狼の女性と違い、喜んで種付けする男は多いだろう。そうやって産まれてきた子供がハスキと同じ特性を引き継ぐ可能性は高い。もし望まれない子が産まれれば、間引く」


「そんな……」


「そして産まれた子は、優れた兵士に育てられるだろう。産まれつき人を超えた超人だ。数を増やせば世界最強の兵士として戦争の道具に使える」


「戦争の道具って」


「女が産まれれば、ハスキと同じ人生を歩む。養殖されて超人の子を産まされ続ける苗床としての人生だ」


「ちょ、ちょっと待ってください。確証なんてまだ何もないじゃないですか!」


「そうだな。半分くらいは私の予想にすぎない。だが、確かな事が一つだけある」


「ハスキさんが狙われている事ですか」


「その通りだ。以前この村を訪れた冒険者が撮ったハスキの写真が何者かに渡った。そいつは人狼の討伐を建て前にして冒険者を集めハスキを狙った。群れの近くに冒険者が集まっている事を察した長が彼らの目的を探ろうとした矢先に、冒険者三人が抜け駆けしてハスキを襲い殺された。これは疑いようのない事実だ」


「その通りなら、この件が話し合いで終わるわけがないじゃないですか……」


「その通りだ。あの歓迎会でそれとなく探っていたが、長が冒険者に事情を説明させに行かせたはずのポメラ夫婦はいなかった。戻ってきてないんだ」


「捕まったのですね」


「そうだ。そしてハスキを引き渡せと要求するような奴らならまだいい。もっとタチの悪い連中なら、どうすると思う」


「人質を拷問して、この群れの場所を聞き出して……」


「そうだ、覚悟しておけ。人狼達が寝入る昼間を狙って襲って来るぞ。今度は何十人もだ。シバを思い出せ。長らく外敵のいなかった人狼共は簡単に寝込みを襲われる」


「大変じゃないですか……。今すぐ皆さんに教えないと……!」


「ダメだ。寝込みを襲わない限り、冒険者達に甚大な被害が出る。そうなってしまえば、群れが根絶やしになるまで解決しないぞ」


「そんな……」


「明日の朝日が昇る前に、こっそり抜け出すぞ。ここで逃げなければ私達まで危ない」


「なら、なら……」


 あくまでも冷静に言い放つクレア様に対し、私は胸の奥からフツフツと湧き上がる熱を覚えました。


「なら、人狼さん達を一方的に殺させて、ハスキさんを奪わせれば解決するんですか!?」


「声が大きい! それが一番円満に解決するなら仕方ないだろう!」


「どこが円満なんですか! 人狼さん達も殺されて! ハスキさんも無理やり子どもを産まされ続けることのどこが!」


「私達には関係のないことだ!」


「あります! 大いにあります! 皆さん親切でしたよね! ご飯だって美味しかったじゃないですか!」


「飯が美味かったから何だ! 親切だったから何だ! 子供達が可愛かったから何だ! 仕方ないだろう! これしか方法がないんだから!」


「逃がせばいいじゃないですか! この森から!」


「私だって遠回しに何人にも言った! でも人狼の誇りがどうの、群れの掟がどうの、よく分からん理屈で逃げようとしないんだよ!」


 私は膝を立て、テントの入り口を開けました。


「待て。どこに行く」


「皆さんに教えてきます」


「やめろ。本当にこの群れが根絶やしにされるぞ」


「なぜですか」


「人間は自分達に危害を加える存在を許さないからだ」


「だから人狼は黙って殺されろと言うんですか」


「そうだ。取るに足らない弱い存在なら見逃してもらえる。人間がその気になれば簡単に殺せるような雑魚ならな」


「納得いきません」


「いいか、よく聞け」


 クレア様に肩を強く掴まれました。指先が食い込み、鈍い痛みが走ります。


「君は人が死ぬという事が、どういう事か分かっていない」


「そんなの十分わかってます!」


「あの殺された三人の冒険者にだって、家族はいただろう。結婚を約束した恋人がいたかもしれない。年老いた親の世話をしていたかもしれない。産まれたばかりの子供がいたかもしれない」


「そんなの……」


「結果的にそうはならなかったが、あの三人がハスキの誘拐に成功していれば、他の人狼も冒険者も誰一人傷つかずに済んだかもしれないんだ。だからたった三人で人狼の群れの中まで来たのかもしれない」


「……」


「今ならまだ何もしなければ、私達は傍観者でいられる」


 傍観者。


「君が冒険者の襲撃を邪魔することで冒険者が死んでしまえば、それは君の責任だ。君が殺させた。人狼の群れもまた本格的な駆除を受けて滅ぶ。全員死ぬ。それも全て君が招いた事になる。ハスキは悲惨な生涯を送り、一生君を憎み続けるだろう。それでいいのか」


 私の責任。


「そんなものを背負う必要はない。何もしなければ、何の責任も負わなくていいんだ。そうだ、人狼を見殺しにするのが嫌なら、私の責任にしてもいい。私が止めたから君は何もできなかったと」


 それだけは、できません。


「クレア様」


「なんだ」


「本当に何もしないほうがいいと考えているのなら、なぜ今このタイミングで私にこの話をしたんですか」


「うっ」


「説明なんてせずに去ろうとしていれば、私は黙って従いました。そうしなかったのはなぜですか。クレア様にも何か、思うところがあるからですよね」


「いや、その、それはだな、えっと……」


「私は傍観者ではなく、冒険者になりたいんです」


「い、いや、でもそう言われてもだな」


「ですから、お願いします」


 私はクレア様の手に手を添え、振り向きました。

 クレア様は珍しく狼狽えた顔をしています。


「私に、責任を負わせてください」


「……本気か」


「ハスキさんや人狼さんたちを助ける努力をさせてください。お願いします」


「どうやるつもりだ」


「レトリバさんに全てを話し、冒険者さんを殺さず捕まえるよう説得します」


「その後は」


「冒険者さんたちを説得して、人狼さんの味方になってもらいます」


「正気か!? すでに三人死んでるんだぞ!?」


「やってみなければわかりません。人狼さんたちは悪い人たちじゃないってきっとわかってくれるはずです」


「いくらなんでも幼稚すぎるだろ! 他にも手段が……」


「あるんですね」


「いや、まあ、ないわけでもないが……」


「なら、上手く説得できなかった時はクレア様の方法を試してみます」


 クレア様は眉をハの字に寄せた後、片手で顔を抑えて天を仰ぎました。


「本当、臆病でも従順でもないな。はぁ……」


 私は何も言わず、クレア様を見つめ続けます。クレア様はそわそわと身を動かしましたが、目は合わせてくれません。

 やがて、クレア様は観念するように手を離しました。


「わかった。もう止めない」


「ありがとうございます!」


「ただし、私達の身まで危ないと判断したらすぐ逃げるぞ。その時は有無を言わず私の判断に従え」


「わかりました!じゃあ行ってきます!」


「はぁ……私が弟子を持つにはまだ早かったな……」




 そして私は大声でレトリバさんを呼び、全てを話しました。レトリバさんは驚いたようですが、私の話を聞くに連れてどんどん険しい顔付きになっていきました。私が説明している間、クレア様は後ろでずっと私を見守ってくれています。


「少しお尋ねしてもよろしいですか」


「はい! 私に答えられることであれば!」


「実のところ、あなた方の推測は的を得ているように思われます。ですが、それならばなぜあなた方はそのことを私に話したのですか?私たち人狼に味方をしても、あなた方に何かしらの得があるようには思えませんが」


「報酬がなければ人を助けてはいけないんですか」


「いえいえ、そういうわけではありませんが……」


「待て、ちゃんと報酬はもらう。そうだな……私達がアドバイスをする代わりに、その立派な金色の毛を少し分けてもらいたい。中々良い値段で売れそうだ」


「ふうむ、こんな年寄りの毛などに価値があるとは思えませんが、こんなものでよろしければいくらでもお持ちください」


「よし、交渉成立だな。ついでに私達の身の安全も約束してもらうぞ」


「約束しましょう。人狼の誇りに誓って」


「なら早速だが、今日の狩りは中止させろ。見張りを立てて交代で睡眠を取らせるんだ。全員で固まって戦力を集中させることで、相手が簡単に手出しできない硬直状態を作ろう。まずはそこからだ」


「わかりました。あなたの助言に従いましょう」


 耳が痛くなるほどの大声量でレトリバさんが吠えると、広場に次々と人狼さんたちが集まってきました。事の成り行きをレトリバさんが群れの方々に説明している間、クレア様と私もこっそり会話していました。


「あの長、君が呼んだらすぐ来ただろう」


「はい、そうでしたね」


「奴は近くで聞き耳を立てて私達を監視していたんだ。油断するなよ、いつ裏切られるかわからないぞ」


「そうでしょうか?きっとあの方が約束を破ることはないと思います。きっと私たちを心配して護衛してくれていたのではないでしょうか」


「はぁ……先が思いやられるな。そんなんじゃ嘘の上手い奴に簡単に騙されるぞ」


「大丈夫です。少なくともクレア様の嘘はすぐわかりますから」


「調子に乗るなよ半人前が」


「いひゃいですぅ……頰を引っひゃらないでふださぁい」


 そしてその後は見張りを人狼のみなさんに任せて、クレア様と私は眠りにつきました。

 私は、自分のした事が間違いではないと信じていました。双方が戦っても無益だとわかれば、きっと争いは起こらないはずです。


 私はまだこの時、きっと誰もが不幸にならないハッピーエンドがあると、信じていました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る