◯● グミゼリー、新生ゴールデンペア


竜預かり所。

アメジストのシオン、

紫恩の生まれた日だ。

いつものシッターさんたちに加えて、

森の皇国神殿の巫女さんが、

やってきた。


じゃん!

試作品!

ぶどうゼリー!


木箱いっぱいに、

キラキラした瓶が並べられ、

美しい紫色のゼリーが並んでいた。


皇国神殿は、

ぶどうサイダーもヒット商品だ。


キリスは、

さっそく、

ちびの紫恩にも、

ゼリー食べさせた。

くちを、あーんぐりあけて、

小さな牙がキラリと見えた。

がぶっ。


ぷぷっ。かわいい。

スプーンを口から抜き取ると、

たまらなく、

胸がきゅうんとした。


彼女の様子を見て、

巫女さんは、

気前よくレシピを教えてくれた。


「グミでもいいんですよ。

サイダーでふやかすと、ゼリーになるんです。」



!!


なんだって?!

キリスと紫恩は、

顔を見合わせた。




そうして、

真夜中を待たずして、

紫恩は、

二十四歳の姿になり、

キリスを、

森の皇国神殿へ、

光の速さで連れ去ったのだった。






シッターさんたちと巫女さんが、

緑茶をすすった。


なぜそこまで彼に、

親切にするのか?尋ねると。




巫女さんは答えた。



おしかぷ。

尊い。

だそうだ。





(終わり)






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