念話無双~スキルランク差別がある世界で、最弱ランクの念話スキルを授かった。極めた念話の最強精神攻撃でざまぁする~

喰寝丸太

第1話 小成人

 あー、エリートになりたい。

 選ばれた人種それがエリートだ。

 前世ではエリートサラリーマンに憧れていた。

 そんな俺はラウド・リスナー12歳、日本からの異世界転生者だ。


 家は5人兄妹で、兄が2人の妹が2人。

 俺は3男でちょうど真ん中。

 家を継ぐ必要はないし、気楽なもんだ。


 家の稼業はなんと貧乏男爵。

 幸い、経済的にはそれほど貧困してるというわけではない。

 贅沢ができないだけだ。

 飢饉でも来なければ心配はない。


 今日は俺の12歳の誕生日。

 この12歳は特別な意味を持つ。

 12歳は小成人と呼ばれている。


「いいか。ステータスオープンと頭の中で念じるんだ。スキルが分かると、弱点も分かるから、人のいる所では気をつけろ」


 父さんがそう言って、俺はこの世界のステータスの出し方を教わった。


 この異世界にはステータスとスキルがある。


 ステータスオープン。

 ステータスが空中に表示された。

 他の人にも見えるのか。

 スキルの使い方が頭の中に入ってきた。


――――――――――――――――――――――――

名前:ラウド・リスナー

レベル:1

魔力:105/105

スキル:念話

――――――――――――――――――――――――


「ラウドおめでとう」

「ありがとうアル兄さん」

「スキルは念話か。微妙だが便利なスキルだからな」

「ゆっくり念話を試したいから行くよ」


 そう言って、部屋を後にする。


 ステータスのことを考える。

 レベルはモンスターを倒してないから1だ。

 105という魔力は平民の平均近い。

 そして問題なのはスキル念話。

 言わずと知れた離れたところの人と会話するスキル。


 そんなことを考えていたら、上の妹のララと下の妹のミラがやって来た。


「ラウ兄、スキルを知ったのよね。何だった?」

「教えて教えて」


「聞いて驚け。念話だ」

「なーんだ。御者が天職の念話スキルかぁ」


 そうなんだよな。

 ララの言う通り、念話使いは、御者になることが多い。


「やってみて」


 よし初スキルだ。

 ミラと繋がるように念話を念じた。

 俺の魔力が具現化し俺とミラの耳のそばにスマホみたいな物を作る。

 ミラはスマホを認識してないようだ。


 スマホを見るとアンテナマークは1本しか立ってない。

 音量も低い。

 音量を上げたら、みるみる加速して減っていくバッテリー。


『ミラ、聞こえる』

『聞こえた。凄い』


 初スキルの感動もなんのその。

 俺のスキル使えなさすぎ。


 ステータスオープン。

――――――――――――――――――――――――

名前:ラウド・リスナー

レベル:1

魔力:3/105

スキル:念話

――――――――――――――――――――――――


 うわっ、もう魔力がない。


「ラウ兄、御者になるの?」

「競馬があったら良かったんだけど。貴族の3男が御者だと外聞が悪い。とてもやってられない」

「世知辛いね」


 ミラはどこでこんな言葉を覚えてくるんだか。

 妹達の好奇心は満たされたのだろう。

 二人して去って行く。


 俺は魔力の回復に努め、魔力は2時間ほどで回復した。


 家の馬小屋に行き念話の練習をする。


 馬に対して念話を使った。

 馬まで距離は2ヒロほどで、1ヒロは約1.5メートルだ。


 スマホは現れたがアンテナは1本も立ってない。

 それなのにバッテリーは減っていく。

 とうぜん話し掛けたが返答はなし。

 アンテナの本数を増やせ。

 そう念じたがピクリとも動かない。


 くそっ、使えないスキルだ。

 俺は馬と1ヒロほどの距離に近づいた。


 魔力を回復させて再チャレンジだ。

 念話。

 今度はアンテナが1本立った。


『馬よ。俺を乗せろ。まずはしゃがめ』

『嫌なこった』

『おやつあげるから』

『おやつだけ貰っておく』


 魔力が切れた。

 今の実力じゃ1ヒロほどしか念話は飛ばないのか。

 それに念話した相手が無条件で従ってくれたりはしない。

 何の意味があるのか不明なスキルだ。


 だが、落ち込んでいてもしかたない。

 まず改善すべきは距離だな。

 俺は村長宅のスキルについて書かれている本を見せてもらった。

 12歳になったので解禁されたのだ。


 まずはスキルを使うと具現化されるところからだ。

 これは術者のイメージに左右されるらしい。

 念話だとカップを糸で繋いだやつだとか、伝令管だとか、人間みたいなものとか色々だ。

 俺が転生者でスマホに馴染みがあったから、スマホになったみたいだ。

 この具現化は他人には見えない。


 ちなみにアル兄さんのスキルは耕作と水魔法。

 工作スキルの具現化はシャベルらしい。

 水魔法はじょうろ。

 農家に持って来いのスキルだ。

 貧乏男爵家なんて半分農家だから、ちょっとうらやましい。

 本人は地味で嫌だと言ってたが。


 肝心のスキルの性能を上げるには方法は2つもだ。

 ひとつは、レベルを上げて性能を上げる。

 これはパワードスーツを身にまとうようなもの。

 そして、もうひとつはスキルを使いまくって性能を上げる。

 こちらは、何回も素振りして鍛える感じだ。

 どっちが手っ取り早いかと言えばレベル上げ。


 レベルを上げるにはモンスターを倒さないといけない。

 だが、モンスターは怖い。

 中型犬ほどのモンスターに食い殺される農民もいる。

 前世で狼と戦えと言われたら勝てるかどうか。

 モンスターはさらに凶悪だ。

 魔力で筋力などを強化している。

 中型犬ほどの大きさのモンスターで下級だ。

 勝てるわけないだろう。

 スキルが戦闘に使えたらワンチャンあるかもだけど。


 しょうがないので素振り方式を採用。

 地味に鍛えるしかない。

 念話は疲れないし。

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